2018年2月10日

F1ドライバーとドライビング理論①

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はじめに


ヨーロッパで生活しているとモータースポーツの存在を日本の100倍以上身近に感じることができます。イギリスでは、隣に住むおばあちゃんですら『この前のレース、あなたのところのチーム調子良かったわね!』と声を掛けてくれます。

ドライバーの運転特性とは?(引用元:Racing Point F1 Team)
そんな国なので誰もが運転が大好き。週末ともなるとレンタルカートサーキットは本当にたくさんのドライバーで溢れかえります。まさに多くのF1チャンピオンを輩出する国ならでは。そこで、今回のテーマでは日本とヨーロッパの違いについてフォーカスし、さらにドライビング理論との関係性について紹介していきます。

国の成り立ちがドライビングの違いに影響?


地域によってドライバーの運転特性は異なりますが、まずはイギリスを例にして日本との交通事情の違いを浮き彫りにしてみたいと思います。

イギリス。日本語では一言で簡単に表現することが多いですが、正式名称は『グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国』です。さらにグレート・ブリテンも北部アイルランド連合王国もさらに小さな国に分かれます。そう、実はイギリスは一つの国ではないのです。また、ちょっと話がややこしくなりますが、サッカーのワールドカップにはイギリス代表という概念はなく、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドそれぞれに代表チームがあります。一方でオリンピックの場合はイギリス代表が存在します。

このような国家の成り立ちをしているので、主要都市だけでなく地方都市も日本のように集中することはなく適度な距離で分散しています。イギリスで最も有名な大都市と言えばロンドンですが、ロンドン市内からクルマで20分も走ればのどかな風景がすぐに眼前に広がります。


このような都市構成のおかげで、制限速度は日本より高めに設定されています。片側一車線の一般道では法定速度が96km/h、高速道路では114km/hになります。日本のように速度違反取締り用のスピードカメラが設置されていますが、制限速度以上のスピードで道を急ぐ人が少なくありません(汗)。

日本とは異なり、渋滞も少ないため走行ペースが圧倒的に違う。それがイギリスの交通事情の特徴の一つです。


ドライビングを織りなすDNAレベルの本能


イギリス、フランスでの生活経験のある自分がサーキットで学んだこと。それは『空いているインはオーバーテイクして下さいというサインである。』ということです。アマチュアドライバーに関して言えば、ちゃんとオーバーテイクできるかどうかは全く無関係に、インに突っ込んできます。そしてぶつけながらオーバーテイクしていくのです。

ヨーロッパの人々はかつて狩猟民族であったと言われています。狩猟民族は蓄えを持てる農耕民族と違い、明日食べ物にありつけるかどうか分かりません。今目の前にあるチャンスは逃してはならない、こんなDNAレベルでの本能がリスク度外視?とも受け取れるドライビングに繋がっているのかも知れません。


上の動画はYouTubeでも有名なカート動画で、コーナーのインとアウトという概念を超え、上空からオーバーテイクするという驚異的なシーンです。もちろん偶発的なアクシデントだとは思いますが、こういうシーンからもヨーロッパの人たちのメンタリティの一端を感じることができると思います。

『参加することだけに意義はない。やるからには勝つ。勝つことに意義がある。』

日本人のレーシングドライバーも同じメンタリティを持っていると思いますが、決定的に違うのは(レースに限らず)大きなリスクを覚悟してチャンスに挑むという点のように感じます。

第二弾ではいよいよドライビング理論について紹介していきます。いわゆるドライビングテクニックとは違う視点での理論で、ちょっとアカデミックな内容になります。お楽しみに。

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