ヘルメットを使うスポーツと言えば?
ヘルメットを使うおなじみのスポーツと言えば、日本では野球が挙げられると思います。野球ではチームの各選手が共通デザインのヘルメットを使っており、チームとの一体感を表現することに役立っています。 また、安全面では頭部へのボールの衝突を想定しており、競技中の視認性確保の観点からオープンフェイス型のヘルメットが使われています。
Aston Martin F1 Teamのドライバー2人の2021年仕様ヘルメット |
今回のブログテーマでは、これら二つの視点に着目し、F1におけるヘルメットの歴史について解説します。
F1黎明期のヘルメット
まずは1960年頃のF1で使われていたヘルメットに注目してみましょう。写真は1961年のスターリング・モス選手です。当時のヘルメットは建設作業で使用されるようなオープンフェイスタイプのヘルメット。目を保護するためにゴーグルも装着して走行しています。現在のヘルメットと比べるとかなり雰囲気が違いますね!
CC BY-SA 2.0 de, 引用元:Wikipedia
一方、そのデザインに注目するとスターリング・モス選手のヘルメットはとてもシンプルで真っ白…(汗)。スポンサーロゴすらもありません。というのも、当時のF1ではマシンを広告塔として使うという文化が始まっておらず、各チームのロゴ、チーム国籍のナショナルカラーなどが車体に描かれるのみという時代だったのです。
1970~80年代のヘルメット
この時代のF1ドライバーのヘルメットはフルフェイスとなり、バイザーも装着されるようになります。その形状と構成は現代のヘルメットにかなり近くなり、ドライバー独自のカラーリングデザインが施されるようになりました。次の写真は1976年のモナコGPでティレルP34を駆るジョディ・シェクター選手です。やはり真っ白なヘルメットと比べると華やかに見えますね!
引用元:F1公式サイト © Sutton Motorsport Images |
一方、1970年代のF1は空力デザインの進化によりコーナリング性能も向上していました。当然、走行性能向上に伴いヘルメットの安全性もそれを超える勢いで改善されなくてはならないのですが、残念なことに当時のヘルメットの安全性はマシンの進化レベルには追い付いていなかったようです。結果的に1970年代のF1では8名の死亡事故が起きてしまいました。
CC BY-SA 2.0, 引用元:Wikipedia
今回のまとめ
F1が始まった1950年代から1980年代にかけて、ヘルメットの安全性の重要度が認知され、安全性が向上しました。デザインについてもF1の商業面での変化から色鮮やかなカラーリングが施されるなど、大きな変化が見られました。
しかし、安全性への飽くなき追及に終わりはありません。F1ドライバーにヘルメットを供給するヘルメットメーカーたちは日々ヘルメットの安全性向上に必死に取り組むのですが、再び悲しい事故が起きてしまうのです。そう、1994年に開催されたF1サンマリノGPで起きてしまった、あの二つの事故です。
次回のブログでは、あの事故をきっかけに1990年代以降のヘルメットがどのような進化を遂げたのか解説します。次回更新をどうぞお楽しみに。
[つづく]