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空力の適用方法を考察する。
前回のブログでは、空力効果によってミニ四駆のジャンプ時の姿勢をコントロールすれば、コースアウトのリスクが低くなり、安定した走行が実現できるのでは?という仮説を紹介しました。今回のブログではその仮説の背景にある考察を紹介します。
ライズエンペラー (引用元:タミヤ公式サイト) |
そこで今回のテーマでは特別にムーンクラフトで空力開発に携わる神瀬エンジニアに協力を仰ぎ、アドバイスを監修して頂きました。
もしかしたらこのブログをキッカケに、ミニ四駆における空力デバイスの存在感が今まで以上に高まるかも?知れません。果たして空力を活用する可能性を見出せるのでしょうか?!
空力デバイスの候補
まず初めに、ミニ四駆に活用できそうな空力デバイスを三つリストアップしてみました。
- 翼型ウイング
- ディフューザー
- エアダム型ウイング
ブラックセイバー (引用元:タミヤ公式サイト) |
翼型ウイング(Aerofoil)
空力デバイスとしてのウイングと言えば、最初に思いつくのが翼型ウイングです。このウイングの特徴は、ウイングの背面と腹面の空気流れに速度差を発生させ、ウイングの背面と腹面間の圧力差でダウンフォースを得ることです。
F1のリヤウイング (引用元:Racing Point F1 Team公式サイト) |
神瀬エンジニアの見解
自分
『F1や航空機はこのタイプのウイングが一般的。でも、サイズも小さくて速度域の低い(最大30km/h程度)ミニ四駆だと有意性のあるダウンフォース量は得られないと思っているけど、これについてどう考える?』
神瀬エンジニア
『このタイプのウイングで気を付けるポイントはウイング背面の流れですね。速度は最大30km/hと仮定して、ミニ四駆のボディ形状とウイング搭載位置を考慮すると、ウイング背面の流れにおいて剥離が起きてしまうと思います。』
翼型ウイングの空気流れの概念図 |
自分
『つまり、ウイング背面に剥離が起きることで、ウイング腹面との圧力差を発生させることは難しいということ?』
神瀬エンジニア
『はい。特にミニ四駆の場合、ボディ形状が複雑なのでウイング背面に乱れのないキレイな流れを導くことが難しそうですよね。なので、この翼型ウイングで有意性のある力を得ることはちょっと難しそうです。』
Photo By Isaias Malta CC BY-SA 2.0, from Wikipedia |
自分
『ふむふむ、なるほど。』
神瀬エンジニア
『ただし、ウイング搭載位置を高くすれば。(上の写真のような)1960年代のF1のように、ウイング背面に乱れのないキレイな流れを確保することができれば、それなりの効果が期待できるとは思います。』
自分
『ミニ四駆の公式レースの規定では最大70mmまでの高さが許容されているから、マウント位置を高くしてキレイな流れを確保することも出来なくもない。』
スワンネック型ウイングマウント (画像引用元:NISMO公式サイト) |
神瀬エンジニア
『モータースポーツの世界ではスワンネック式のマウントってありますよね。あれってウイング背面の流れを乱さないようにするためなんです。とにかく背面の流れを意識する必要があります。』
自分
『う~ん…高さを確保することはできそうだけど、マウント方式やその強度、ウイングのアスペクト比を総合的に考えると、翼型ウイングの発生する力の絶対値は期待するほど得られないかもね。』
神瀬エンジニア
『はい、そんな感じがしますね(汗)。』
翼型ウイング~まとめ
翼型ウイングはその搭載位置を最適化すればダウンフォースを発生させることは可能だが、その発生量は十分ではなさそう…というのが僕と神瀬エンジニアが至った結論です。
また、レーシングカーでは走行中の車体姿勢変化が小さいため、安定した空力性能を期待できますが、ミニ四駆ではジャンプ中の車体姿勢変化により、その効果が大きく変化すると想定されます。
ジャパンカップ公式サーキット (引用元:タミヤ公式サイト) |
では、ディフューザーはどうでしょうか?その考察については次章にて!次回のブログ更新もどうぞお楽しみに。
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