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F1の世界には神様がいる。
皆さんはどう思いますか??F1の長きに渡る歴史の中で、伝説となったレースやドライバーもいるので、何となく『たぶん神様っているんだろうなー』と感じたこともあったかと思います。でも、僕はその存在を固く信じています。なぜなら、フォースインディアF1チームからの結果連絡を待つ僕に、F1の神様は驚きのプレゼントを用意してくれていたからです。
(引用元:ホンダ公式サイト) |
今回のブログではそのプレゼントがどんなものであったのか?そして、どんないきさつでそのプレゼントをもらうことになったのか?そのエピソードについて書き綴っていきたいと思います。
始まりは些細な葛藤から。
フランスでF1を目指して修行生活を積んでいた僕でしたが、家族は日本に残っていたので離れ離れの暮らしでした。僕はできる限り無駄遣いを避け、日本に残っている家族に毎月の生活費を仕送りしていました。
ある日のことです。Auchan(オーシャン)というスーパーマーケットでお買い物をしている時のことです。家電好きな僕の目にあるものが入ってきました。それは外付けのオーディオスピーカー。『あ、そういえばテレビの音質が良くないんだよなぁ…』そんな考えが頭に浮かびましたが、続けてこう思うのです。『いや、まぁ、絶対に必要なものでもないし、買うという選択肢はないよなぁ…』と、ちょっとした葛藤に陥ったのです。
結局買っちゃったオーディオスピーカー |
結局、€20(当時のレートで2,800円)ほどのオーディオスピーカーを棚から取り出し『おお、神よ。誘惑に勝てなかった僕をお許し下さい…。いや、許してくれるであろう…』そんな浅はかな考えとともにレジへと向かっていたのです。しかし、無駄遣いとも言えるこのお買い物が、まさか神様からのプレゼントに繋がるとはこの時は全く知る由もありませんでした。
日本への帰国に向けて。
以前のブログで書いたように、会社から契約の延長を拒否されてしまった僕は就労ビザが期限切れになる前にフランスから退去しなくてはなりませんでした。フォースインディアF1チームとの面接が終わり、イギリスからフランスへと戻った僕はすぐに日本への帰国準備を始めました。
住んでいたアパートの解約や家具・家電の処分など、地味にやらなくてはならないが多かったのですが、Facebookに設置されていたリヨン在住者のコミュニティを活用して処分を進めていました。そんなある日、このコミュニティでオーディオスピーカーを譲って欲しいという女性Aさんから書き込みがあったのです。
『良かった!引き取り手が見つかった!』
引き取り手が現れてくれたことにホッとしつつ、Aさんと連絡を取りあって引き渡しの段取りを進めていったのですが、実はAさんについてちょっと気になることがありました。というのも、AさんのFacebookのアイコンが明らかにF1との関連を思わせるものだったからです。また、Aさんの苗字も僕の脳裏のどこかに何か引っ掛かる感じがしたのですが、その時は『たぶんF1好きな女性なんだろうな~』と思うに留まっていました。
リヨンで繋がる"ホンダ"との縁
迎えたオーディオスピーカーの引き渡しの日。待ち合わせ場所はリヨンの旧市街近くにあるHotel de Villeという旧市庁舎の前でした。時間通りに待ち合わせ場所へ現れたAさんに、まずは簡単な自己紹介と挨拶をしてオーディオスピーカーをお渡ししました。
Hotel de Villeに掛かる虹 |
[自分]『F1、お好きなんですか?Facebookのアイコンがそれっぽい感じでしたので。』
[Aさん]『はい、大好きですよ!』
いやはや、まさかリヨンでF1好きな女性と知り合うことになるとは…(汗)。それだけでも驚きでしたが、その後の会話で衝撃の事実が2つも発覚するのです。なんと、AさんはホンダF1活動の第二期、第三期において重責を担った方のご息女だったのです。そして、フォースインディアF1チームのCOOであるオットマー・サフナウアーとも旧知の仲だというのです。
フォースインディアF1チームとの面接を終えたばかりの僕にとって、まさかまさかの展開です。Aさんと日本で知り合うというなら十分にありうる話だと思いますが、まさかフランスで、しかもパリではなくリヨンという街で、ホンダに深く関わっている方と繋がりが出来ようとは想像すらしていませんでした。
神様からのプレゼントとは。
その後、僕はフォースインディアF1チームからオファーをもらうことになるのですが、渡英の日程が決まった頃にAさんから連絡があり『家族でヨーロッパ旅行に行くのですが、食事も兼ねてロンドンで父と会いませんか?』とお誘いを頂いたのです。
たまたま都合を着けることが出来たので、そのお誘いに応じさせて頂くことにしました。学生時代からの就職活動を含め、ずっと縁のなかったホンダ。結果的にホンダで働くことは叶いませんでしたが、最後の最後にこういった形でホンダF1で重責を担った方とご縁ができるとは誰が想像できるでしょうか?
お会いしたのはフォースインディアF1チームで働き始める直前の週だったと思います。僕は終始、緊張しっぱなしでしたが、Aさんのご家族との食事は一人のF1ファンとして最高の時間となったのは言うまでもありません。アイルトン・セナのことや第二期、第三期のF1活動で苦労したこと、そして現在のホンダF1についての想いなど、本当に貴重なお話を聞くことができたのです。
極度に緊張してはいましたが、楽しかった食事の時間はあっという間に過ぎ去っていきました。そして迎えたAさん家族との別れ際のことです。Aさんのお父様から『これから大変だと思うけど頑張って!』と激励のお言葉と握手を頂いたのです。
『F1の世界には神様がいる。』
僕はその存在を信じています。F1エンジニアとしての生活がスタートするまさにその時に、最高のプレゼントを僕に贈ってくれたのですから!
[つづきはコチラ]
【目次】僕がF1エンジニアになるまで
01. はじめに
02. 学生就職活動編①
03. 学生就職活動編②
04. 三菱自動車時代①
05. 三菱自動車時代②
06. 三菱自動車時代③
07. 第一次転職活動編①
08. 第一次転職活動編②
09. 日産自動車時代編①
10. 日産自動車時代編②
11. 日産自動車時代編③
12. 第二次転職活動編①
13. 第二次転職活動編②
14. 第二次転職活動編③
15. 第二次転職活動編④
16. フランス修行編①
17. フランス修行編②
18. 第三次転職活動編①
19. 第三次転職活動編②
20. 神様のプレゼント編
21. 完結編①
22. 完結編②