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意外な場所での再会
幼少時代以来、RCカーから離れた生活をずっと続けていましたが、あることがきっかけでRCカーと再会することになります。日産自動車に転職し、2年目を迎えた2008年のことでした。当時は喫煙者だった僕が喫煙所まで足を運んだ時のことです。喫煙所近くの窓際のテーブルになぜかRCカーが飾られていたのです。
『ん?こんなところにRCカーが置いてあるぞ?!』
不思議に思いつつも、そのRCカーに僕の目が奪われたのは言うまでもありません(笑)。久しぶりに見るRCカー。驚いたのは昔のRCカーと比べると圧倒的に精巧な作りになっていたことです。実際のレーシングカーとほぼ同じ形式のサスペンション、ベルト駆動による4WDシステム、実車さながらの本格的な進化に一発で惚れてしまいました。
現在のマシンはタミヤのTB04 |
『よし、RCカーのレースに出るぞ!』 と。
この時、職場にRCカーを展示してメンバーを募集していたのは、現在はモータージャーナリストとしてのキャリアを目指している 吉川賢一氏。実際のRCカーを職場に飾ってしまうという吉川氏の大胆不敵な作戦(策略?!)に見事に乗せられてしまった僕は、吉川氏のデスクをすぐに訪問し『RCカーのレース、一緒にやらせてください!』と伝えるのです。
『何か暑苦しい人が来ちゃったぞ…』と吉川氏が思ったかどうかは定かではありませんが(汗)、吉川氏がリーダーを勤める社内RCサークル『ニッサンTKF』に加入させてもらうことになりました。ちなみに吉川氏とはチーム内エースの座を争う仲となるのですが、最終的には僕がチーム内のエースの座を奪う?!ことになります。(え?)
RCカー復帰を決めた理由
当時の僕が所属していたのは日産自動車の走行制御開発部・統合制御開発チーム。そのチームでの仕事は、技術バックグラウンドとして"車両運動力学"に精通していることが求められます。神奈川工科大学の名誉教授・阿部正人先生の著書『車両運動と制御』や、上司が自動車技術会で発表した論文で勉強はしていたのですが、その理論を実践的に学ぶ機会が少なく、『何か良い機会がないものか…』と、その頃の僕は悩んでいたのです。
タミヤTB04のフロントサスペンション |
そんな時に再会したのが精巧さを増したRCカーだったのです。現代のRCカー(特にツーリングカーのカテゴリ)は実車さながらのセットアップ変更が可能で、シャシー系だけでも次のようなセットアップ項目があります。
- スプリング剛性
- ダンパー減衰力
- アンチロールバー剛性
- トレッド幅
- ホイールベース
- 前後車高
- キャスター角
- アッカーマンジオメトリ
- キャンバー角
- キャンバーゲイン
- タイヤのコンパウンドと剛性
この他、パワートレイン系などを数え上げると枚挙に暇がありませんが、RCカーの良い点はセットアップ変更の手間が実車に比べて圧倒的に小さく済むことです。RCカーを速くするためにどうすれば良いのか?自分なりに仮説を立て、セットアップを変更し、仮説検証のために走行する。こんな繰り返しが気軽にできるわけです。
このように、RCカーが車両運動力学を実践できる最高の教材であったこと。これがRCカーへの回帰を決めた最大の理由です。
復帰時の愛車選び
職場に吉川氏が展示していたのは彼の愛車タミヤTA05(ベルト駆動4WD)で、優れたハンドリング性能で評判のシャシーです。しかし、ベルト駆動4WDがどうも好きになれなかった僕は、異なる駆動方式のシャシーであるTB03(シャフト駆動4WD)を選びました。ライバルとなるであろう吉川氏と同じクルマでは面白くないと思ったのも理由の一つですが、実車に近い駆動方式に美しさを感じたのもTB03を選ぶ動機となりました。
(引用元:タミヤ公式サイト) |
また、ツーリングカーのカテゴリの他にも、F1やバギーなどのカテゴリもあります。意外かも知れませんが、僕はRCカーでF1シャシーを走らせたことがなく未知の領域です。現在、幸運なことにホンモノのF1を仕事で走らせているので、今のところは手を出すつもりはありませんが(汗)、いずれはRCカーでもF1の世界に足を踏み入れてみたいと思っています。
憧れのRCカーのレース活動へ!
何はともあれ、TB03でツーリングカーのカテゴリを選んだ僕は、いよいよRCカーレースの世界へ初めて足を踏み入れることになります。しかし…ずっと憧れていたRCカーの世界では、想像していた以上のカベにぶち当たり、悔しい思いをすることになろうとは当時の僕には知る由もありませんでした…。
次回のブログでは、どんなカベにぶち当たったのか?その壁をどのように乗り越えようとしたのかを紹介したいと思います。次回更新もどうぞお楽しみに!
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