2018年5月8日

僕がF1エンジニアになるまで【第二次転職活動編①】

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情報は自らの足で稼ぐ。


統合CAE部での仕事の成果のおかげで、周囲から頼られるような存在へと成長できたことを実感できた僕は、F1チームへの転職活動を本格的に再開することを決意しました。『もしかしたらそれなりに可能性があるのではないのか?』そんな楽観的かつ希望的観測とともに。ですが、このブログでもこれまでに何度か書いてきたように、人生とはいつも思うように事が進まないのが世の常。またしても未知なる世界へと足を踏み入れることになります。

僕がF1への転職活動を再開した時、海外で就職するにはどんなことが求められるのか?正直なところ、そのことについての知識が全くありませんでした。自分は生まれも育ちも日本で、卒業してきた学校も全て日本です。そんな僕がイギリスにあるF1チームへの転職を目指す…そもそも参考になる情報が全くありませんでした。『さぁどうしたものか…?』そんな思案に更ける日々がしばらく続きました。

Autosport.comに掲載されていたRenault F1の求人広告
そんな日々の中、ふと周囲を見回すと目に入ってきたのはたくさんのフランス人。そう、当時の所属会社は国際色豊かな日産自動車。身近なところにはRenaultから出向してきたフランス人がたくさんいたのです。F1チームへの就職事情を知ることはできずとも、海外での就職事情なら彼らに聞けばわかるはず。そう考えた僕は英会話のトレーニングも兼ねて積極的に彼らに話しかけることで情報収集を試みたのです。

そして、フランス人の彼らから情報収集した結果、いくつかの重要な情報を得ることができました。
  • 採用への応募は会社の公式サイト経由がベター
  • コネクション採用もあるが慎重に進める必要がある
  • 応募にはCV(履歴書)とカバーレター(挨拶状)が必要
  • 応募は会社の人事部宛に直接メールするか、会社のサイト経由で応募
  • F1を含むモータースポーツ系の求人情報はAutosport.comが有名
※ CV : Curriculum Vitaeの略。アメリカではResume(レジュメ)と呼ばれる。

当時の僕は『なるほど。とにかくCVとカバーレターを書いて応募すれば何とかなるみたいだ。』こんな楽観的な考えに至りました。本質を見極めることが大切であることを学んだにも関わらず、この時の僕はこの先に立ちはだかる大きな課題の本質に全く気が付いていませんでした。

人事の反応から分かることとは?


何はともあれ応募しないことには何も始まりません。まずはCVを作って応募してみることにしました。記憶が確かであれば、初めて応募したF1チームはWilliamsだったと思います。Williamsは日本でも名の知れたF1チームであり、これまでに何度もコンストラクターチャンピオンを獲得した経験のある歴史ある名門チーム。ぜひ入りたいチームの一つでした。

Williams公式サイトに掲載されている求人情報
さて、日本では会社採用に応募すれば応募受付の連絡はもちろん、1~2週間ほどで選考結果の連絡がもらえることが普通だと思います。初めてWilliamsに応募してみたは良いものの一か月以上経過してもWilliamsからは何の音沙汰もありませんでした。何か手違いでもあったのかな?それとも返信メールがフィルタリングされて届いてないのかも?電話がもしかして繋がらない?と心配になりましたが、2ヶ月ほどしてようやく人事担当者(正確にはWilliamsの人事業務委託先)からメール連絡が入りました。

後から理解したのですが、結果連絡が遅いことは基本的に『不合格』を意味します。少し冷たく感じるかも知れませんが、興味のない人材に対して欧米の会社は驚くほど優先度を下げた対応をします。応募者数が多いのである意味仕方のないことです。逆に言えば、興味のある人材に対しては迅速な反応を示してくれます。何はともあれ、この頃の僕は応募先から迅速な反応をもらったことは一度もありませんでした。


面接に呼ばれない原因とは?


なぜ、面接に呼ばれないのか?応募するたびに『今回は申し訳ないけれども…』という書類選考不通過メールの数が増えるだけの状況…。闇の中で必死に足を前に進めるも、どこかにも辿り着くという実感が全く得られない、そんな状況でした。しかし、そんな時にこそ、あのことを思い返すことになります。そう、『本質を見極めること』です。面接に呼ばれないのはなぜか?その理由を選考する側の立場で、かつ結果から遡るように考えてみました。

  • 『この人を面接には呼ばないことにした』
   なぜ?
  • 『この人は求めている人材ではないと判断したから』
   なぜ?
  • 『求める能力を持っていない、もしくは持っているように見えないから』
   なぜ?
  • 『CV(履歴書)から求める能力がこの人を持っているとは思えなかったから』

ここまで掘り下げてみると、①求められている能力と本人の能力が合致していない、②CVで自分の能力や経験が100%伝わっていないという可能性が考えられます。実のところ①については、求人募集要項の内容だけでその合致性を判断することが難しいというのが実情です。『お!これこそ僕が求めていたポジション!』と思えても、実際には求められている能力と自分の能力に差異があることも。一方でその逆というパターンもあります。とにかく応募してみないことには分からないのですが、②については改善の余地が十分にありそうだという結論に至りました。

自分の能力を120%に見せるCVは詐称になりますが、80%しか伝わらないCVではもったいないだけです。この時の僕に必要だったのは、自分の能力を余すことなく100%を相手に伝えることのできるCVだったのです。

履歴書CVの重要性


日本の履歴書のフォーマットはほぼ定型化されていますが、ヨーロッパにおける履歴書であるCVは、おおまかなフォーマットこそあれど『これが正解』というフォーマットはありません。

自分なりの考え(コンセプト)を持った上で書く必要があるのですが、言い方を変えれば、自分の能力や経験を自由に表現できるとも言えます。紙面に文字だけで作る自己プレゼンテーションと言っても良く、海外での就職活動において最重要となる書類です。実はF1への転職活動を始めた当初、僕は深く考えずにこのCVを書き綴っていました。しかし、自分の分身でもあるCVを深く考えずに書き上げることは、読み手に自分を伝えることを放棄したも同然です。そのCVによって引き起こされる結果が期待通りにならないであろうことは言うまでもありません。

CVのサンプル(引用元:ロンドン留学センター)
CVの重要性に気付いて以来、現在の所属チームに加入するまで僕はCVを約30回に渡りメジャーアップデートをしました。また、『こう書けば見やすいかな?』、『この情報はあえて書く必要はないかな?』、『これも書いておいた方が良いかな?』など、細かなアップデートはさらに多くの回数を重ねました。CVに限らず、人が造るもの全てに言えることですが、とことん考え抜いて造ったものには何らかの良い反応であったり、成果をもたらす可能性が高くなります。もし、F1に限らず海外でのキャリアを目指す人はCVをとことんこだわって作ることを強くオススメします。

待ち受ける更なる大きな課題


ようやくCVの重要さに気付けたとは言え、それだけでF1チームからお呼びが掛かるほど簡単な話ではありません。というのも、この先には乗り越えなくてはならない新たな難課題が待ち受けていたからです。

目的を達成するためには、それに相応しい努力に加え、勝負を賭した決断が必要な時があります。この先に待ち受けていた難課題に直面した時こそ、僕がその決断を下す時に他なりませんでした。しかし、その決断が人生最大の大失敗と危機をもたらすことになるのです。

[つづきはコチラ]


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