2018年6月8日

僕がF1エンジニアになるまで【フランス修行編②】

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フランスでの大失敗


フランスでのエンジニア生活も半年を過ぎると、苦しみつつもそれなりの成果が出せるようになってきていました。そして、少し早いかな?と思いつつも、半年を過ぎた時点でF1チームへの就職活動も再開しました。その時の成果は第三次転職活動編で詳しく書くこととして、今回のブログでは僕が直面した『人生最大の危機』について書こうと思います。

直面した危機はこの美しい街で起きた
正直なところ、この『人生最大の危機』を書くことは自分にとって、つらくもあり恥ずかしくもあり、出来れば誰にも言わずに、ずっと心の中にしまっておきたい…というのが正直なところです。しかし、この失敗がF1入りへのキッカケとなったことも事実です。当時の自分を反省し、今後の教訓として残すため包み隠さず書こうと思います。

労働契約と僕の楽しみ


欧米では労働契約書にサインをすることで契約が成立し、その会社で働くことになります。契約書には年収、労働時間、試用期間の長さ、福利厚生、退職時の条件など様々な条項が盛り込まれています。当時の僕の契約には試用期間終了後に会社からカンパニーカーが支給される条項が盛り込まれており、他の同僚と比べると少しばかり好条件だったと思います。

この時の契約書の条項に書かれていた試用期間は9ヶ月。9ヶ月経過後に上司からのレビューを受け、その後本契約へと切り替わります。当時の僕はそのレビューが終わって本契約に移行することを楽しみにしていました。

Renault Megane
その理由はもちろん、会社から支給されるクルマです。クルマがあれば行動範囲は格段に広くなりますし(←まずはリヨン郊外にあるカートコースに行きたかった)、クルマの運転のない生活はクルマ好きには少々ツラい日々でした。

仕事でプレッシャーにさらされる日々の中『う~む、新型のメガーヌも捨てがたい…』とクルマ選びで悩むことはクルマ好きの自分にとっては良い気分転換になっていました。


そして迎えた試用期間の終了…


Siemens Industry Software SASでの9ヶ月を終えた僕は、いよいよ試用期間のレビューの時期を迎えました。このレビューには二つのステップがあり、最初は他部署マネージャによる一次レビューで、自部署のマネージャとの面談は最終レビューとなっていました。

一次レビューでは少々苦戦しましたが、どうにか最終レビューの日を迎えました。レビュー会場となっている会議室で待っていると、マネージャだけでなく部長と人事も会議室に入ってきました。『ずいぶんと厳かな出席者だな…』と思うと同時にイヤな予感がしました。

打ち合わせが始まると、僕の前に一枚の書類が提示されました。そして、レビュー早々にマネージャーが口にした言葉は…

『試用期間はこれで終了するけど、契約は更改しないことに決まったよ。』

『は…??(言葉を失う自分…)』

『契約終了の条件がここに書いてあるから内容を確認して署名してくれるかな?』

『…どういうことでしょうか?』

『会社として、君のこの9ヶ月間のパフォーマンスには満足できなかったんだ。だから、契約を打ち切るということなんだ。』

『つまり、クビ…ということですね…?』

『そうは言わないが、契約は更新できないということなんだ。』

『……。』

人生最大の危機。それは会社からの解雇でした。38歳にして人生初の解雇通告を、それも日本から遠く離れたフランスで経験してしまったのです。当然『なぜ?どうして?』という考えが頭の中を駆け巡りました。

もちろんその時は納得がいきませんでした。なぜ解雇なのか?自分のパフォーマンスのどこに問題があったのか?その時は冷静さを欠いていたこともあって全てのことが理解できませんでした。しかし、解雇は解雇です。解雇に至った理由がかなり特殊であったことは後日分かりましたが、その日は言われるがままに書類にサインをし、解雇という事実だけを持って帰宅したのでした。

現実と夢の狭間で


解雇を通告され、自宅に帰宅したその夜。

やるせない気持ち、憤りともいえる気持ちを一旦は脇に置き、すぐに次の仕事をどうするか思案し始めました。もはやF1への夢は風前の灯でした。フランスを拠点に仕事ができない以上、日本に戻ってどこかに就職する以外に選択肢はありません。

この時、最もつらかったのは妻への報告でした。せっかくチャンスをくれたのにその恩に報いるどころか、最悪な結果を伝えなくてはならなかったからです。家族のためにも、とにかく次の仕事を決めて収入を確保しなくてはなりません。もはや自分の夢をどうこう言っている余裕は全くありませんでした。

『F1への夢はもう諦める時なのかも知れない…』

しかし、ずっと追い求めてきたF1への夢。それを諦めることはこれまでに頑張ってきたことを全て自分で否定するような気がして簡単には受け入れられるものではありませんでした。

『僕はF1とは縁のない人生を送る運命の下にあって、受け入れざるを得ないのか…』

そんな思いが頭をよぎると張り裂けるような心の痛みに襲われ、強烈な葛藤の渦中で苦しみました。しかし、そんな僕の下に運命を完全に一変させる一通のメールが舞い込んできたのです。それは解雇通告を受けた翌日のことです。

それがフォースインディアF1チームからの面接の連絡だったのです。

[つづきはコチラ]

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