2018年6月12日

僕がF1エンジニアになるまで【第三次転職活動編①】

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F1への最後のチャレンジ


まさかの解雇通告を受けた日の翌日。失意の僕に千載一遇のチャンスが巡ってきました。それがフォースインディアF1チームからの面接の連絡でした。まさに捨てる神あれば拾う神ありです。

前回のブログでも少し書きましたが、Siemens Industry Software SASでの仕事が6ヶ月が経過した時点でF1への転職活動を再開していました。フランスでの仕事経験はたったの6ヶ月ではあったものの、転職活動再開から3ヶ月で面接に呼ばれた回数はなんと3回もありました。日本にいた頃に比べると圧倒的なペースで面接に呼ばれていたのです。やはりヨーロッパに来たことは正解だった…そう実感できました。

Circuit de Catalunya
僕のこれまでの転職活動と言えば、もはや因縁と言っても良いでしょう。"あの企業"とも、ちょっとした接点があったのですが、そのエピソードも含めて第三次転職活動で関わりのあったチームを紹介したいと思います。

HAAS F1 Team


このチームは日本人のF1ファンの皆さんにとってはお馴染みのチームでしょう。そう、チーフレースエンジニアの小松礼雄さんが有名かと思います。当時はチームの人員補強のため、積極的に採用をしていたようです。僕がこの時に応募したポジションはPerformance Engineerでした。

HAAS F1 VF-18(引用元:HAAS F1 Team公式サイト)
ある日の仕事中のことでした。僕の携帯電話が鳴りました。画面を見ると国番号+1の国際電話の着信でした。『んんんん?アメリカ?アメリカのSiemensかな?』と思い、電話に出てみると『!@#$%^&*』と怒涛の勢いで英語を話してくる女性からでした。

『あ、あのすみませんが、会社名をもう一度おっしゃって頂けます?』

と落ち着きを促すようにゆっくりとお願いすると…

『HAAS F1 Teamです。』

『あ!(…そういえば応募してたな…)』

完全に油断していました。応募した時点では『自分の経歴とは毛色の違うポジションかもなぁ…』と感じていたので、先方から連絡がくることは全く想定していませんでした。『ま、可能性はゼロじゃないし、とにかく応募してみよう』という感じでの応募だったのです。

『今から電話面接をしたいのですが…』

『え?!今からですか?!ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい(汗)!』

まさかのタイミングだったので準備らしい準備もできず、メモとペンを持ってすぐに自席を離れ、人影の少ないエレベータホールへと移動しました。今思えば『仕事中なので日を改めさせて頂けませんか?』とお願いすれば良かったかも知れません。突然の電話面接で、場所は職場を眼前にしたエレベータホール。心の準備も何もないままでの面接は、全く手ごたえがありませんでした(汗)。そして予想通り、HAAS F1 Teamとは縁がありませんでした。ここでの反省は『いつ何が起きても良いようにしっかりと準備をしておくこと』でした。

後日分かったことですが、HAAS F1チームはこの頃、イギリスのTier2ビザのスポンサー資格を持っていなかったため、いずれにせよHAAS F1チームからオファーをもらえることはなかったようです。

Williams Advanced Engineering(WAE)


F1部門ではありませんでしたが、同じ敷地内にありますし、F1への足掛かりにもなりそうだったのでWAEの採用告知も常にチェックしていました。ある日、Control System Engineerのポジションの採用が告知されたので『イケそうな気がする!』と思い、すぐに応募しました。

すると1週間ほどで面接の連絡があったのです。国内での転職活動中は何度も応募していたWilliamsでしたが、初めて面接に呼んでもらうことができました。しかも、応募してすぐにレスポンスがあったのには驚きました。

Jaguar Formula-e (引用元:Williams Advanced Engineering
ちなみにWAEではジャガーのFormula-eチームの運営を担当していますが、モータースポーツ以外にも様々なクルマの開発も受託しており、仕事内容はなかなかエキサイティングな内容でした。ちなみに面接を担当してくれた方はフランス人でしたので、面接の冒頭はフランス語を少しだけ話しました。

WAEとの面接は電話面接だったのですが、ここでも手ごたえは得られず…でした。結果も予想通りオファーに繋がりませんでした。この頃から『どうも自分の強みが相手に伝わりきっていない…』そう感じるようになり、もっと対策が必要と考えるようになりました。


Honda F1 (Milton Keynes)


はい。因縁のHondaさんです。 と、いってもHRD SakuraではなくHonda F1のイギリスでの開発拠点であるMilton Keynesのポジションへの応募でした。2016年当時は頻繁に募集がかかっていたので、内情は推して図るべし…といったところでしょうか(汗)。肝心の僕の応募の見通しとしては、僕にエンジン系の開発経験が無かったので面接に呼ばれるのはちょっと厳しいかな…と思っていました。

(引用元:motorsportsjobs.com)
で、案の定、面接には呼ばれませんでした…。ちなみに冒頭で『接点があった』と書きましたが、このポジションへの応募が接点ではありません。

実は2016年の3月のプレシーズンテストを見学するためにカタルーニャサーキットを訪れていたのですが、パドックで運良く長谷川総責任者に遭遇し、僕の履歴書を手渡しさせて頂いたのです。長谷川さんからすれば、いきなり話しかけてきた怪しげな日本人に『何なの?コイツ?』と思ったに違いません。もう2年以上前のことですし、当時はかなりの激務だったかと思うので、ご本人はもう覚えていないかも知れませんが(汗)。

今となっては良い想い出ですが、現在はホンダに深く関わる方々と家族ぐるみのお付き合いになるなど、仕事以外での繋がりで大変お世話になっています。

Scuderia Toro Rosso


え?!と思った方も少なくないと思います。この話は後日談なのですが、すでにフォースインディアで働いていた昨年のことです。トロ・ロッソとホンダの提携が公表された直後に『ウチに興味ありませんか?』とトロ・ロッソの人事から直接連絡を頂いたのです。

(引用元:Scuderia Toro Rosso公式サイト)
トロ・ロッソの開発拠点であるイタリアのファエンツァに日本人エンジニアがいると助かると考えてたのでしょう。彼らからすれば、日本語と英語の語学スキルに加え、ヨーロッパの文化にも慣れていて、技術にも明るい日本人エンジニアがいれば心強いと考えるのは自然なことです。ただ、僕はフォースインディアでの仕事に本当に満足していましたし、日本⇒フランス⇒イギリス⇒イタリアと移住を繰り返すのはさすがに無理…と思い、丁重にお断りさせて頂きました。

F1への扉を開く最後の大切な鍵


幸いなことに短期間の間で2回の面接の機会に恵まれたは良いものの、最終的に契約オファーを得るために『何か』が足りない…そう痛感するようになりました。

フォースインディアF1チームとの面接が失敗に終われば、F1への夢はその時点でゲームオーバーとなってしまいます。文字通り崖っぷちの状況でしたが、まさにこの時、ゲームオーバーとならないようにするべく、僕の意識は更なる高みへと登り詰めようとするのでした。

[つづきはコチラ]

2 件のコメント:

  1. とても楽しく読ませて頂いております。F1の世界観が好きでエンジニアで活躍したいと思いながら夢破れ(と言ってもほんとの夢だったのですが)毎戦観戦を楽しみにおります。フォースインディアのマシンを作る力にはほんとすごいなって思っております。今年は鈴鹿へ応援に行きます。是非ともご活躍をお祈りしております。

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    1. コメントありがとうございました。そして鈴鹿での応援、ヨロシクお願いします!鈴鹿ではフォースインディアのマシンVJM11から底力を感じてもらえるよう今後も仕事頑張ります!

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