2018年6月3日

僕がF1エンジニアになるまで【フランス修行編①】

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フランス、リヨンでの生活がスタート


初めての海外、しかもフランスでの生活。不安がなかったと言えばウソになりますが、どうにかフランスでの生活のスタートを切りました。そして、この時の僕に与えられた時間は2年。『2年で結果が出なければ日本に戻ること』それが妻と交わした約束だったからです。

La Cité Internationale de Lyon
まさに一日一日の仕事が勝負。新しい職場でどこまで成長できるか?それによってF1への道が開けるかどうかが決まる…。そんな緊張感とプレッシャーを感じながら過ごしたフランス生活を紹介します。

ヨーロッパでの働き方とは。


フランスに限らず、これは欧米では一般的なことだと思うのですが、仕事は契約書に記載されている就労時間を"守る"のが基本です。朝9時から夕方6時まで、月曜日~金曜日まで8時間働きます。多少の時間の前後はありますが、定時になるとあっさり帰宅するのが普通です。当初、生粋の日本人サラリーマンを卒業したばかりの僕は定時退社することを無意識的に躊躇していました(汗)。

一方で、求められている成果が日本企業よりもずっと明確に示されているので、僕個人の感想としては働きやすいと感じました。限られた8時間の中でいかに効率良く成果を出すか?そのことを強く意識するようにもなりました。8時間でキッチリ仕事をこなし、仕事が終わったあとは自己研鑽やリフレッシュする時間に充てる…そういうライフスタイルの良さに気付いたのもこの頃でした。

フランスでは一人でカートを楽しんでました(汗)。
とはいえ、全く残業しないのかと言うとそんなことはありません。プロジェクトの納期が近づいて忙しさが高まると周囲のメンバーも少なからず残業していました。それでも職場は8時にもなるとガラガラ(汗)。その様子を見て『やっぱり家族との時間を大切にしているんだな…』と感じました。

家族を日本に残し、自分の夢の実現のためだけにフランスで働ている自分にとって、そんな職場の同僚を見ていると羨ましいだけでなく、家族に申し訳ないな…と感じることも度々でした。


フランスでの仕事


Siemens Industry Software SASでの僕の役職名はSenior Project Engineerでした。主にプロジェクトマネージャーとして、時にはプロジェクトのメンバーとして、AMESimのモデル開発、実証データの取得実験を計画・実行することが仕事でした。自分のデスクはLyonで、実験となるとVillefrancheというリヨン郊外の街まで赴いて仕事をしていました。

Villefrancheの拠点
この会社の規模は日産と比べると圧倒的に小さかったこともあり、多くのことを自分一人でこなす必要がありましたが、基本的に仕事の進め方は個人の裁量に寄るところが大きいのが特徴でした。仕事の進め方について、あれこれ言われることがほとんどないのです。これはとてもストレスフリーな環境でした。

最初は小さなプロジェクトから始まり、日本の自動車メーカーから海外の自動車メーカーまで、この会社に所属していた10ヶ月でいくつかのプロジェクトの仕事を任せてもらいました。この時の僕はとにかく『カスタマーのために最大限の貢献を!』というテーマで日々の仕事に精を出していました。

AMESimのメカニカル‐油圧モデル(サンプル)
具体的な仕事の内容をここに書くことはできませんが、いわゆる理工学部機械工学科で学ぶ全ての学問をフル活用するような仕事でした。機械力学、熱力学、材料力学、流体力学、制御工学などです。さらに電子電気工学の基礎に加えてソフトウェアのコーディングスキルも必要です。

狂い始めた歯車


この頃の僕は無意識のうちにプレッシャーに負けていたのかも知れません。仕事は難しかったものの楽しむこともできていましたし、カスタマーである自動車メーカーの方々にも仕事の成果は喜んで頂けていたと思います。しかし、F1に向けて先の見えない日々は僕の心を少しずつ疲れさせていたのでしょう。

『この先、僕はどうなってしまうんだろう?』

F1への可能性を求め渡ってきたフランス。家族に多大な迷惑を掛けて渡ってきた海。時として襲ってくる強烈な不安…。仕事からの帰り道、家族を思い出しながら空を見上げると滲んで見える日もありました。

Lyonの夕暮れ…
『必死で頑張らなきゃ…。』

そんな強がりともいえる僕の気持ちが原因で、僕の心の歯車が少しずつ狂い始めていたのです。そのことに当時の自分は全く気付いていませんでした。そして、Siemens Industry Software SASで働き始めて9ヶ月が経過したある日、僕は大きなミスを犯したことに気付かされ、そして人生最大の危機に直面するのです。

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