[重要なお知らせ(Important notification)]
最終回にあたって。
『僕がF1エンジニアになるまで』いよいよ完結となります。
今回のブログ更新では、フォースインディアF1チームから契約オファーを受けてからの僕の気持ちと現在の意気込みを書きたいと思います。そして、このブログを読んで頂いた読者の皆さんへのメッセージと、これから夢を実現したい人たちへのアドバイスも書きたいと思います。
また、なぜ『僕がF1エンジニアになるまで』を書くことにしたのか?そのモチベーションの源泉となった気持ちも綴ろうと思います。今回のブログはちょっと長くなりますが最後までお付き合いください。そして、『僕がF1エンジニアになるまで』を最後までお読み頂き本当にありがとうございました。
終わりから始まりへ。
フォースインディアF1チームから契約オファーをもらえたことでようやく開いたF1への扉。少しは落ち着ける日が過ごせるようになるかな…と思ったのも束の間でした。安堵と入れ替わるようにして僕が抱いたのは『恐怖』という感情でした。
それまでにF1での業務経験はもちろん皆無でしたし、モータースポーツ車両の開発経験もごく僅か。そんな僕がF1の世界でいきなり結果を出すことができるのか?このような疑問が僕に『恐怖』という感情を持たせたのだと思います。正直、自信なんて全くありませんでしたが、そもそも自信とは結果を出してこそ得られるものです。F1での仕事の自信はF1の世界で結果を出す以外に得られません。
また、F1に辿り着くことは僕のキャリアにとっては単なる通過点であり、始まりでしかありません。このことを再認識した僕は、今更ながら自分が飛び込もうとしている未知の世界に慄くのですが、それと同時に『ワクワク』という感情も持つようになります。
(引用元:フォースインディアF1公式サイト) |
『いずれF1で勝てるクルマを開発してみせる!』
今、僕はこの決意とともにシルバーストーンにあるフォースインディアのファクトリーで、Vehicle Science Engineerとしての仕事に日々没頭しています。フォースインディアのような独立系チームがいつかトップチームに打ち勝つ日を夢見ながら。
F1を目指した日々の中で。
長きに渡ってF1を目指して頑張ってきました。決してラクではありませんでした。僕の実力不足が原因で大きな遠回りもしていたと思いますし、とてもツラい日もありました。それでも僕は常日頃からF1への夢をたくさんの人に語っていました。
大学時代の同期、三菱自動車と日産自動車の仲間、全日本学生フォーミュラの設計審査員の仲間、レーシングカートの仲間、ラジコンの仲間、学生フォーミュラで面倒を見てきた学生の皆さん、F1ですでに働いていた先輩の皆さん、そして何よりも自分の家族。自分でも恐ろしくなるくらいに大風呂敷を広げていたと思います。もうあとには引けないほどに。
(引用元:フォースインディアF1公式サイト) |
だから僕は、もし叶えたい夢があるならば、それを誰かに話してみるのがいいと思います。『叶わなかったら恥ずかしいし…』と躊躇する気持ちもなくはないですが、自分の夢を誰かに話すことで自分はもっと頑張ろうとしますし、話相手となった人は『自分も頑張ろう!』と思ってくれるかも知れません。
夢の共有は双方にポジティブな影響を与え合うと僕は思います。多くの人と夢を共有すればする程、ポジティブな人間関係は大きな広がりを持つことになり、いつの日か自分の望む『何か』が起きると僕は信じています。
F1という夢の実現とは。
今、読者の皆さんの心の中にはどんな夢がありますか?人それぞれ様々な夢や想いがあると思いますが、その夢の実現に向けて一歩を踏み出すことは時として大きな勇気とリスクを伴います。だから、僕は夢の追求を安易に人にオススメすることができません。
(引用元:フォースインディアF1公式サイト) |
『少しずつでもいいから、一歩一歩前に進んでいこう』
と決めていたからです。さらに何か決断を下さなければならない時は、
『ちょっとだけ難しい方を選んでいこう』
とも決めていたのです。これが僕の選んだスタイルでした。
僕は夢の実現とは『自分がありたいと思う姿と、今の自分の姿との差分を埋めていく修行の旅』だと考えています。このような旅に、僕のスタイルが全ての人に合うとは思いませんが、これから夢の実現に向けて頑張ろうとする人にとって、僕の経験してきたことが少しでも参考になれば幸いです。
僕が伝えたかったこと、伝えたかった人
2月末より連載を始めた『僕がF1エンジニアになるまで』ですが、この記事を書くにあたり、いくつかのモチベーションがありました。その中に源泉となったモチベーションがあります。正直に書くと、あるたった一人のためにこのブログ記事を書くことを決意したと言っても過言ではありません。
そのたった一人とは、日本で暮らす僕の愛娘です。
海の向こうに広がる世界を見据えて! |
その時に僕がどんなふうに自分の夢や目標を実現してきたのか?それを知ってもらうことが彼女にとって良き道標になればいいな…と、そんな思いでこのブログ記事を綴っていました。
F1を目指す気持ちが強く、自分の夢の実現を優先するあまり、父親としては100点満点だとは決して言えません。その償い…という訳ではありませんが、F1の世界での夢や目標を実現することで、彼女にとって大いに誇れる父親になれるよう、これからも日々頑張っていきたいと思います。
そして将来、彼女が夢の実現に向けて歩みだした時、僕は彼女の夢を全力で応援してあげたいと思います。
終わりに。
4ヶ月以上に渡る連載ブログ『僕がF1エンジニアになるまで』を最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。このブログを通じて、読者の皆さんの心にポジティブな"何か"が芽生えたのであればとても嬉しい限りです。
それでは、連載ブログテーマ『僕がF1エンジニアになるまで』、最後はこの言葉で締めさせて頂きたいと思います。
[おわり]
【目次】僕がF1エンジニアになるまで
01. はじめに
02. 学生就職活動編①
03. 学生就職活動編②
04. 三菱自動車時代①
05. 三菱自動車時代②
06. 三菱自動車時代③
07. 第一次転職活動編①
08. 第一次転職活動編②
09. 日産自動車時代編①
10. 日産自動車時代編②
11. 日産自動車時代編③
12. 第二次転職活動編①
13. 第二次転職活動編②
14. 第二次転職活動編③
15. 第二次転職活動編④
16. フランス修行編①
17. フランス修行編②
18. 第三次転職活動編①
19. 第三次転職活動編②
20. 神様のプレゼント編
21. 完結編①
22. 完結編②