2018年7月8日

僕がF1エンジニアになるまで【完結編①】

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さよなら、リヨン。


フォースインディアF1チームの面接も終わり、結果連絡を待っていた僕は、日本への帰国に向けてフランスならではの少々面倒な日々を過ごしていました。というのもフランスでは手続きごとは書面で通達しないとダメなことがほとんどで、フランス語力ほぼゼロの僕には苦行以外のなにものでもありませんでした(汗)。

アパートからのリヨンの眺望
次の仕事が確定していなかったこともあり、苦行な日々の中での心情はとても複雑なものでしたが、夏のファクトリーシャットダウン明けから2週間以内に連絡をするとのことでしたで気長に待つしかありませんでした。

どうにかこうにか現地の日本人やフランス人の助けのおかげで帰国の準備も無事に終わり、とうとう日本への帰国の日を迎えました。一年にも満たない、たった10ヶ月というフランスのリヨンでの生活。名残惜しさを感じつつ帰国の途に就きました。楽しくもあり、辛くもあったフランス生活でしたが、確実に僕を成長させてくれたように思います。

3.5次転職活動


前職であるSiemens Industry Software SASからは10月まで給与を頂けることになっていたので、すぐにお金に困ることはなかったのですが、オファーがもらえなかった場合に備え、念のため国内での転職活動を始めました。

幸いなことに多くの魅力的な企業からお話を頂くことができたのですが、その中でもドイツに拠点を持つIPG Automotive社の面接を受けさせて頂き、フォースインディアF1チームからオファーがもらえなかった場合はお世話になるという前提で内定を頂くことができました。IPG Automotive社CarMakerという車両運動シミュレーションソフトウェアが有名で、ドイツに拠点を置く会社です。

(引用元:IPG Automotive Japan公式サイト)
実はIPG Automotive社とは日産自動車在職時にちょっとしたご縁がありました。2014年の自動車技術会の春季学術講演会で学術発表をさせて頂いた時、同じ発表セッションにドイツ本社から来日していたIPG Automotive社の方々がいらっしゃったのです。セッションの合間に歓談したり、ちょっとしたビジネスの話もさせて頂いていました。

ただ、そういったご縁があったとは言え、『F1入りが実現しなかったら貴社でお世話になりたい』という、僕の一方的で勝手な都合にご理解を頂けたことについては、感謝しても仕切れません。

このように、僕のF1への転職活動では本当に多くの方々に応援・支援を頂くことができたのですが、そんなありがたい状況に感謝しつつも、いよいよ待望の瞬間を迎えることになるのです。


待望の結果連絡をもらうが…


運命の連絡は2016年8月30日のことでした。現在の上司からまずはメールで連絡が入りました。ドキドキしながらメールを開くと『電話で直接話がしたいのだけど、日本で繋がる番号を教えてくれるかな?』とのことでした。『え?電話で?』と少々戸惑いましたが、電話番号を連絡したところ、すぐに電話が鳴りました。

その時に話したことは極度の緊張のために鮮明には覚えていないのですが、一つだけ鮮明に覚えていることがあります。それはもちろん…

『君に契約のオファーを出したい。』

という言葉でした。F1への扉を開くために何度も、何度も、懲りることなくノックしてきましたが、ようやく…ようやくその扉が開いた瞬間でした。この時の僕の心情は歓喜というよりも安堵の方が強かったことを記憶しています。もちろん電話が終わってからは三回ほどガッツポーズをしましたが(笑)、実際にオファーをもらってみると、これまでのことが思い出され『少しは落ち着けるようになるな…』という安堵感に包まれました。

2016年全日本学生フォーミュラ大会会場にて
F1への就職活動を始めて、日産を退職しフランスへ移住。そして解雇と同時にフォースインディアF1チームとの面接…。仕事そのものだけでなく、自分の将来を切り拓くためにたくさんのことを考えては実行し続けてきました。このため、ずーっと張りつめていた僕の心はちょっと疲れていたのでしょう。安堵感はそんな心模様を反映していたのかも知れません。

この時の上司との電話では、契約オファーの他に年俸の交渉、その後の就労ビザの手続きについての簡単な説明を受け、『近いうちに再会するのを楽しみにしているよ!』という言葉をもらい電話を切りました。ここまでの感情は『歓喜』から『安堵』という流れでしたが、そう簡単に安堵することなどできないのがF1の世界なのかも知れません。

『安堵』の次に僕を包んだ感情は『安堵』とは全く正反対の感情だったのです。

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