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2020年5月26日

F1的な就職活動のススメ【F1とメディア】

[前回のブログ]
[重要なお知らせ(Important notification)]


はじめに。


今回のブログのテーマは『F1とメディア』です。Twitterで『F1を始めとしたモータースポーツのメディアやジャーナリストを目指している人ってどれくらいるのかな?』と呟いたところ、想像以上の反響があったのでこのブログ記事を執筆することにしました。

イギリス人F1ジャーナリスト
(引用元: Sam Collins's twitter)
まず最初に、これを読む皆さんにお伝えしておかねばならないことがあります。それは、僕自身にメディア・ジャーナリストの経験はなく、あくまで一介のエンジニアでしかないということです。そんな僕がF1やモータースポーツのメディアについて書くことは、実際にメディア・ジャーナリストとして活躍されている方々に対し、とても畏れ多いことだと考えています。

それゆえ、このテーマで書くことはこの一回限りとするつもりです。また、今回のブログの目的は、ジャーナリズムの世界を目指す若い人たちを勇気づけること、将来に向けてキッカケとなるヒントを、F1の世界にいる側の人間として提供することです。そして執筆に当たり、メディア・ジャーナリストとして活躍されている方々へ最大限の敬意をここに表しつつ、執筆することをご理解頂ければ幸いです。

少々堅い書き出しとなってしまいましたが(汗)、最後まで読んで頂ければ幸いです。

まずは課題から洗い出してみよう。


僕がF1の世界で働くようになって以来、『F1ジャーナリストになってみたいが、どうすれば良いのか分からない…』という嘆きにも近い質問をもらうことが多く、そのことが強く印象に残っています。社会人経験のない学生にとってはそもそも進学の悩みの方が大きく、考える余裕がないでしょうし、社会人として働いている人にとっても就職活動で希望の会社に入れなかった…など様々な事情があると思います。

そんな悩みを抱えている方々に代わり、僕なりの考え方を今回のブログでは共有してみたいと思います。

では、F1ジャーナリストの世界を目指す上で、どんな能力やスキルが必要になりそうか?細かい課題は数多あるかと思いますが、僕なりにその課題を次のように大きく三つの課題に分け、体系的にまとめてみました。

① 情報収集能力
② 知識力・情報量
③ 情報発信能力


ポイントは『体系的にまとめた』ことで、上の序列はそれぞれの重要性を表してはいません。どういうことか?それを次の図で説明します。

2018年11月18日

F1的な就職活動のススメ【F1就職最前線②】

[前回のブログ]
[重要なお知らせ/Important Notification]


僕からのメッセージ


『F1的な就職活動のススメ』もいよいよ最終回となりました。今回のブログでは、契約に至るまでのプロセスを説明しつつ、選ばれるためにはどんな存在であることが求められるのか?ということについて書こうと思います。


そして終わりに僕からのF1を目指す人へのお願いとエールで締めたいと思います。少々長文になりますが、最後までお付き合いください。また、今回の連載テーマも最後までお読み頂き本当にありがとうございました。

それでは最終回です!

まずは応募してみよう


以前のブログでも書いたように、自分がF1でどんな仕事をしたいのかを明確にする必要がありますが、ここではそれが明確になっていることを前提に話を進めて行きたいと思います。

さて、現在では多くのF1チームが公式サイトで採用情報を告知し、応募を募っています。事前にユーザー登録をする応募方法や、人事のメールアドレスに書類を添付して送付する応募方法など、いくつかスタイルがありますが、詳しくは各チームの公式サイトを確認してください。参考までに各チームの採用サイトへのリンク(2018年11月現在)を以下にまとめてみました。
  1. Racing Point Formula1 Team
  2. Mercedes AMG Formula1 Team
  3. Mercedes AMG High Performance Powertrains
  4. Scuderia Ferrari Formula1
  5. Red Bull Racing
  6. Renault Sport Formula1 Team
  7. HAAS F1 Team
  8. Scuderia Toro Rosso
  9. Williams F1 Team
  10. Sauber F1 Team
  11. McLaren Racing
なお、応募のルートはいくつかあり、公式サイト以外にもLinkedInにある各チーム公式ページなどを経由して応募することが可能な場合もあります。個人的にはチームの公式サイトを経由して応募する方が良いかなと思いますが、LinkedInは情報収集に役立つこともあるので登録しておくことをオススメします。もちろん僕も登録していますが、今ではF1関係者との繋がりをたくさん構築することができました。

(引用元:Mercedes AMG F1 Team公式サイト)
さて、各F1チーム公式サイトの求人広告チェックを続けていけば、そのうち狙いとするポジションの広告が見つかると思います。その時は躊躇することなくポチっと応募しましょう。ネット経由なので応募手続き自体はあっという間に終わります。手続きが終わると『あなたの応募を受付けました』という内容の自動返信メールが送られてきます。あとは正式に人事からの返答を待つのみ!です。

面接で最も重要なのは…


CVもちゃんと作成し、応募したポジションにふさわしい実力も備えているのであれば、応募から"一週間"も経たずに面接の日程調整の連絡が入るはずです。僕の経験上、面接に呼ばれる時はたいてい素早く連絡が入ります。逆に一週間以上も経過して何も音沙汰がなかった場合、望ましくない結果であることがほとんどです。

仮に面接に呼ばれたとしたら、次に気になるのは面接ではどんなことを聞かれるの?ということではないでしょうか。もし、エンジニアとしてF1を目指している場合、基本的に面接は技術面接になると考えて良いと思います。自身の技術レベルが果たして本当にチームが求めるレベルにあるのかどうか?それを徹底的にチェックされます。場合によっては筆記テストが課されることもあります。

では、そんな厳しいチェックがなされる面接に臨むに当たって、最も大切なことは何でしょうか?

それはどんな質問が投げかけられようとも、エンジニアとして技術的に的確な回答ができることです。これは一般的な面接対策でどうにかなることではなく、日頃から技術開発の仕事と真剣に向き合っていること。これが一番の対策になると思います。将来受けることになるであろうF1チームとの面接。日々の仕事に漫然と取り組むのではなく、来るべき時に備えてエンジニアとして技術と真正面から日々向き合うことをオススメします。


"Be the best"


面接も無事に終わり、あとは結果連絡を待つのみ…。果たして契約オファーがもらえるのか?面接が終わった日から落ち着かない日々が始まります。ところで、F1チームから面接の機会が与えられたことには意味することがあります。それはたくさんの応募者の中から最後に選ばれた5~10人ほどの中に入れたということです。

それを知ると仮に今回がダメだったとしても今後に向けた可能性を十分に実感することができるかと思います。確かにそれは間違いありません。しかし、最終的にF1チームからのオファーを勝ち取る人はどんな人なのでしょうか?

F1チームへの応募者は英国名門大学の出身者が多数
F1に限りませんが、ポジション毎に雇用するスタイルの欧米ではそのポジションで採用される人数は一人です。多くの応募者の中でたったの一人。そう、それは応募者の中で絶対的にベストな存在である人だけが契約オファーを勝ち取れることを意味します。

当たり前と言えば当たり前ですが、そんな激しい就職を勝ち抜いたベストな人材が集まった集団。それがF1チームという存在なのです。もし、F1の世界を目指すのであれば常に意識しておかねばならないこと、それがこの章のタイトルとして書いた"Be the best"なのです。

終わりに


F1的な就職活動のススメ、いかがでしたでしょうか?今後、F1の世界を目指す人が余計な遠回りをしなくて済むようにと思い、出来る限り参考となる情報とアドバイスを書いたつもりですが、少しでも参考になれば嬉しい限りです。

最後にこのテーマでブログを書こうと思ったキッカケと僕の想いを書こうと思います。まずキッカケについてですが、たくさんの方々からこんな質問を受けたことでした。

『どうしたらF1の世界で働けるようになりますか?』

これまでは時間の許す限り、相手の立場も想定しつつアドバイスをしてきましたが、個別にアドバイスをすることには時間かつ体力的に限界があります。ならば、少しでも多くの人に参考となる情報を届けたいと考え、このテーマでブログを書くことを決めました。

2018年シーズン後のパーティにて
一方、改めて気付いたこともあります。それは質問をしてきた方々にとって本当の正解を僕は持ち合わせていないということです。本来、その正解は質問をしてきた方の中にしか生まれ得ないもののはずですから、残念ながら僕がどんなに頑張ってアドバイスをしたり、情報発信をしたところで参考程度にしかならないのです。

だから、これからF1を目指す人へ僕からお願いがあります。

僕がこれまでに執筆してきた『僕がF1エンジニアになるまで』、『F1的な就職活動のススメ』は僕が経験してきたストーリーでしかありません。F1への道程をどう築き上げていくのか?その答えは自分自身の中にあります。自分自身の内なる可能性を信じ、その答えを自分自身で真剣に考え、自分自身のストーリーを築き上げていってください。

これからF1を目指して頑張る皆さんの健闘を心から祈っています。そしていつの日か、F1の世界で皆さんにお会いできることを楽しみにしています。

[おわり]

2018年11月10日

F1的な就職活動のススメ【F1就職最前線①】

[前回のブログ]
[重要なお知らせ(Important notification)]


F1の就職最前線とは?


いよいよ『F1的な就職活動のススメ』も最終章。今回のブログではF1就職最前線と題し、F1業界ではどのような採用スタイルを取っているのか?応募者数ってどれくらい?などの疑問に答えつつ、契約獲得に至るまでの経緯を紹介していきます。

(引用元:Williams F1公式サイト)
さて、決して簡単に開かないF1への門ですが、それでも諦めずにその門戸を叩き続ける情熱と根気が必要になります。しかし、かつて僕がやっていたように闇雲に叩いても意味がありません。そして、これからF1の世界で働くことを目指す人に余計な遠回りをして欲しくありません。

そこで、F1を目指す上で理解しておいて欲しいことを最初に書きたいと思います。

F1への情熱は…


突然ですが、もし、あなたがF1の世界で働くことを真剣に考えているのであれば、F1ファンとしての情熱を一旦は忘れる必要があると僕は考えています。『え?!なんで??』と思うかも知れませんが、これには明確な理由があります(その理由については後述)。

華やかな世界のF1。レース部門は世界中を転戦し、開発部門はファクトリーで最先端の技術開発に勤しみ、メカニックはピットで迅速かつ正確にマシンを組み上げ、レースではトップドライバー達が激しいバトルを繰り広げる…こんな世界で働きたいと真剣に考えている人は世界中にたくさんいます。

そんなF1の世界に憧れる人に向け、Williams F1 Teamが公式サイト上でキャリアに関する アドバイスのページを設けていることをご存知でしょうか?そこには次のようなことが書かれています。

Williams F1 Teamからのアドバイス①

[Question]
"I am GCSE student and would like advice on the best route to enhance my opportunity to achieve a career in Motorsport?"
[Answer]
"We would advise you first and foremost to give your best at school, whichever career path you chose. It’s also important to learn, particularly for a career in F1, that most often success comes from sustained hard work as opposed to occasional displays of brilliance"

[質問]
私は高校生なのですが、将来モータースポーツでのキャリアの可能性を高めるにはどうしたら良いかアドバイスを下さい。
[回答]
真っ先にアドバイスしたいことは、あなたがどんなキャリアを選ぼうとも、学校でベストを尽くすことに他なりません。特にF1でのキャリアを目指すというのであれば、一過性の努力による成果ではなく、継続的な努力こそが最終的な成功に繋がることを知っておくと良いでしょう。

さらに、この続きにはかなりストレートなアドバイスが書いてあります。どの大学が望ましいのかなど、具体的な学歴についても躊躇なくFAQで紹介するあたり、F1が常に最高の人材を求めているかが良く分かるかと思います。ある意味、イギリスは日本以上に学歴社会なのかも知れません。

Williams F1 Teamからのアドバイス②

[Additional Answer 1]
"Specifically though I would advise you follow the numerate disciplines for your GCSEs and A-Levels i.e. Maths (essential), Physics, Chemistry, Design & Technology, IT etc. You should eventually aim to do a degree in an engineering discipline i.e. Mechanical, Automotive or Aeronautical. As for choice of University or college, with Cambridge, Imperial, Brunel, Bristol, Loughborough and Southampton being popular high-end choices for F1 hopefuls."
[補足回答1]
もっと踏み込んでアドバイスをすると、高校での理系科目(数学、物理、化学、設計技術、IT分野)において最良評価を取れるようにすると良いでしょう。また、最終的には工学系の学位(機械工学、自動車工学、航空宇宙工学など)の取得を目指しましょう。大学の選択についてはケンブリッジ大学、ロンドンのインペリアルカレッジ、ブランネル大学、ブリストル大学、ラフバラ大学、サウサンプトン大学などの名門大学への進学が望ましいでしょう。

[Additional Answer 2]
"It is also important to get practical experience, so try to use your vacations or gap year etc to get some. This could be paid employment in a garage or workshop or even voluntary labour for a junior race team. When you get to University joining the Formula Student Team is a great way of getting really good hands-on experience, as well as being a lot of fun."
[補足回答2]
実践経験を積むのもまた重要なことです。そこで大型連休などを活用して実務経験を得られるようにしてください。ガレージやワークショップでの給与付きの仕事でも良いですし、下位カテゴリのレースチームでのボランティア業務も良いでしょう。また、大学に入学したら、学生フォーミュラチームに加入し、楽しみつつも実践経験を積むというのも良いでしょう。

さて、この章の冒頭で『F1ファンとしての立場は一旦は忘れるべき』と書きましたが、ここでその理由について書きたいと思います。

Williams F1 Teamのアドバイスは、F1チームでの仕事を得るためにどんな努力をすれば良いのか?その具体的な方策を示してくれていますが、そこから汲み取れるメッセージは『あなたの情熱をあなた自身の切磋琢磨に費やして欲しい』というものだと思います。

(引用元:Williams F1 Team公式サイト)
その切磋琢磨はいつも楽しいものではなく、どちらかというと厳しくも地味な道程です。あえて厳しい言い方をしますが、プロフェッショナルとしてF1チームに関わることを目指すのであれば、趣味としてF1に関わることと根本的に異なる世界に身を置くことを覚悟しなくてはなりません。

今まさにこの瞬間もその情熱を未来に向けて注いでいる人が世界にはたくさんいますから、これも一つのコンペティション(競争)です。もちろんF1ファンであることを辞める必要はありませんが、競争相手に負けないためにも、自分がF1ファンであることを忘れるくらい自己研鑽に励む必要があると僕は考えています。これがF1ファンとしての立場を一旦は忘れるべきと言う理由です。


競争を勝ち抜くには?


上の章でも述べたように、本当にたくさんの人がF1の世界を目指しています。特に競争が激しいのは大学新卒や若手の人材市場です。新卒学生の応募の多いジュニアエンジニアのポジションだけでなく、インターンシップのポジションになると1名の枠に300名以上の学生から応募があるそうです。

一方で僕のように実務経験のある場合も簡単ではありません。応募数はさほど多くありませんが、それでも応募倍率は100倍近くはあります。加えてF1の業界内にだけでなく他業界から熟練のエンジニアがこぞって応募してくるので、これもまた簡単ではありません。

『そんなに大変なのか…自分には無理かも…』

そう思う人も少なくないかも知れません。しかし!頼もしいことに、こんな熾烈な競争に挑む日本人若手エンジニアや学生も少なくないのです。その中には、すでに複数のF1チームから面接に呼ばれた実績を持つ人もいます。そんな勇猛果敢な若手エンジニアや学生たちに共通して言えるのは、以前のブログで紹介した、4つの大切な要件の4つ目に書いた『技術への探求心』が特に強いことです。

自作のムービングベルト式風洞実験機
例えば、車両モデル、ムービングベルト、ダウンフォース計測装置など全部一人で作り上げてしまうなど、僕も驚かずにはいられないほどモノ造りへの情熱を持っている若手もいます。上の画像はその若手による自作のムービングベルト式風洞実験機です。

確かにF1チームに加入することは簡単なことではありません。しかし、他人にない独自の強みがあれば、この競争を勝ち抜ける可能性はグッと高まると僕は考えています。大学での研究や仕事などを通じて『技術への探求心』を育み、ゼロから何かを生み出す『創造力』を培うこと。ここに紹介した若手エンジニアのように、これを実践することを強くオススメします。

最終章第二弾に向けて…


さて、次回のブログが最終章第二弾にしてF1的な就職活動のススメの最終回となります。F1チームへの応募から契約オファーに至るまでの流れを紹介しつつ、最終的にどんな人が契約オファーを獲得しているのかを書いて最終章を締めたいと思います。

次回の更新もどうぞお楽しみに!

[つづきはコチラ]

2018年11月4日

F1的な就職活動のススメ【履歴書CVとは?】

[前回のブログ]
[重要なお知らせ(Important notification)]


海外就職に必要な書類とは


今回はイギリスなどヨーロッパ圏内での就職活動に求められる応募書類を紹介したいと思います。以前のブログでも応募方法の概要を紹介しましたが、その詳細については踏み込んでいませんでした。そこで、将来ヨーロッパなどの海外で働くことを夢見ている人向けに参考となるであろう具体的な内容を紹介していきます。


まず最初に、応募の際に求められる代表的な書類を紹介しましょう。一般的に必要となるのは以下の三点です。三点目の補足資料は必須ではありませんが、例えば自分の得意分野の紹介プレゼンテーションなど、準備しておくと有利になることもあるのでリストに加えてみました。

  • 履歴書(Curriculum Vitae)
  • 挨拶状(Covering Letter)
  • 補足資料(Support Document)

そして、今回のブログで深掘りして紹介するのはCV(Curriculum Vitae)と呼ばれる履歴書についてです。CVはヨーロッパで就職する際には絶対に求められる重要な書類であり、CVを作らずして就職機会を得られることはあり得ません。エンジニアはもちろん、メカニックなどのポジションでもCVの提出は必須です。また、日本の履歴書と異なりコンビニでテンプレート用紙が売っているわけでもありませんので、自力で作成する必要があります。

そんな自作の自己アピールの履歴書、それがCVなのです。

何を書けば良いのか?


一番最初に浮かんでくるCVについての疑問はその書き方と内容でしょう。一般的に、CVには以下の内容が含まれていることが求められます。ちなみに、画像や写真を紙面に載せてはならず、文字と罫線のみで2ページ以内で構成することがCVの基本的な作法となります。ただし、ドイツ語圏の国では応募者の顔写真を掲載する場合がありますので、各国の慣習に合わせると良いです。

①Personal Information

個人を特定するための情報です。僕の場合は次の六つの情報を織り込みました。

  • 氏名(ローマ字でパスポートと同表記)
  • 現住所(英字表記)
  • 連絡先(メールアドレス・電話番号)
  • 生年月日
  • 家族構成(未婚・既婚など)
  • 国籍

最初の三つの項目(氏名・現住所・連絡先)は必須だと思いますが、残りの三つは必ずしも記入する必要はないと思います。本来は国籍、年齢などで採用判断が左右されるべきではないからです。しかし、日本国籍である僕の場合、イギリスの就労ビザ取得が必須だったため、詳細な情報を含めておきました。

②Professional History

応募時点での職務履歴を書きます。現在から過去の順番でそれまでの経験を以下の情報と一緒に書き出します。

  • 会社名
  • 勤務期間
  • 職務ポジション名
  • 担当業務
  • 成果や貢献した内容

日本の履歴書と決定的に異なるのは、どんなポジションで仕事に従事し、どんな成果を出したのかも具体的に書く必要があることです。成果などについては、要点をまとめた上で箇条書きスタイルで書き出します。

ところで日本人の場合、欧米と比較して転職する回数が少ない傾向にあるので、ずっと同じ会社に勤務している人も多いかと思います。その場合は社内での所属部署での経歴を詳しく書きましょう。

なお、学生の場合は在学中に経験したインターンシップでの職務経験を書くことになりますが、即戦力としての加入を求められる欧米では、このインターンシップの職務経験をCVに書けることが大きなアドバンテージになります。


③Skill&Knowledge

自身のスキルや知識についての情報です。僕の場合は技術的な観点でこの情報を構成してみました。それまでに扱ったことのある技術的なソフトウェアとそのスキルレベル、強みと成り得る工学知識(機械工学、制御工学、電気電子工学など)、語学レベル(英語、日本語、フランス語)などです。

人それぞれアピールポイントも違うので、コレという正解はありませんが、一度自分自身のスキルを見つめ直し、CVに書いておくべきスキルを選定すると良いでしょう。例えば、まだ使用経験が3ヶ月程度のソフトウェアなどはBeginner(初心者)などの脚注を着けるか、経験が十分になるまでCVへの掲載を見送るなどの対応が必要です。

④Educational History

学歴に関する情報です。以下の情報を書きます。ある程度の職務経験がある場合(目安として5年以上)、紙面のスペースを効率的に活用するために最終学歴の記述だけでもOKかも知れませんが、修士号を持っている方は学士号の記載もしっかりと明記します。

  • 最終学歴の学校名
  • 在学期間
  • 取得学位名
  • 卒業成績評点

卒業時の成績評点に関してですが、日本国内共通の評点基準が無いようですので、無理して書かなくても大丈夫だと思います。もし大学での成績が優秀だったのであれば、そのことが分かる記述をしておくのも良いかも知れません。

イギリスの大学を卒業した場合は、必ず大学での評点を記載しましょう。以下の記述はイギリスにおける共通の評点基準です。エンジニアとしてF1チームへの就職を目指す場合、最低でもUpper Second-Class(2:1)が求められることが一般的です。

  • First-Class Honours (First) (70% and above)
  • Upper Second-Class Honours (2:1) (60-70%)
  • Lower Second-Class Honours (2:2) (50-60%)
  • Third-Class Honours (Third) (40-50%)

⑤Reference

推薦人のことをReferenceと言います。必須項目ではありませんが、もし自分を推薦してくれる知人がいるのであれば、書いておくとちょっとだけプラスになることがあります。応募先のチームで働いている知人、大学で卒業研究を担当してもらった教授、過去に働いていた会社の上司などにReferenceをお願いします。

ReferenceとしてのOKをもらえた場合、その推薦人の氏名、会社名、ポジション名、連絡先(メールアドレス)をCVに書きます。その推薦人に問い合わせの連絡が行くことは恐らくほとんどないとは思いますが、ReferenceがあるとCVの信頼度が少しだけ上がります。

以上、5点となります。注意して欲しいのは、ここに書いたのはあくまで一般論であり絶対ではないということです。社会人経験の長い人、就職活動中の学生など、立場によってCVのスタイルは変わりますので、自分の考えるベストなスタイルを模索してみてください。

紙面から伝わる熱意


今回のブログではCVに書くべき内容について解説しましたが、これを読んでいる皆さんはどう感じましたか?CVのことを良く知らなかった人でも『書く内容は日本の場合に比べると少し多いけど、海外ならこれくらいは求められて当たり前なのかもなー…』と感じた人もいるかも知れませんね。とにかく、上に解説した項目を紙面に書き下ろしていけば、それなりの体裁のCVを作ることができると思います。

一方で『CVはちゃんと書いたつもりだし、何度応募しても面接に呼ばれず、お断りのメールばかり…』という人も少なくないと思います。これまでにもイギリス・日本で学ぶ学生さんや後輩に求められCVの書き方についてアドバイスをしてきましたが、全ての人に次のような事を伝えてきました。

『CVを見ればその人の熱意が分かる。』

CV作成は書き手にある程度の自由度と裁量が任されているので、読み手はCVに少し目を通しただけで、書き手がどれほど真剣に書いてきたのかがとても良く分かるのです。良く考えられたCVほど『俺を見てくれ!俺の強みはこれだ!』という熱意を強く感じますし、その人の経歴や強みが理解し易いのです。

このように自分の実力と魅力を余すことなく100%伝えることが、CVを書く上でとても大切なのですが、何度応募しても面接に呼ばれない場合、自分の実力が熱意とともに100%伝わっていない可能性が高いです。このような状況に直面している人は改めて自分のCVを見直すことをオススメします。

CVの改善に終わりはない


F1への就職活動を始めて以来、僕は自分のCVに27回ものメジャーアップデートを重ねてきました。その過程の中で僕が意識するようになったことは次の3点です。

  • 必要十分な情報が抽出され、CVに落とし込まれているか?
  • 文章の表現やレイアウトが美しくまとまっていて理解しやすいか?
  • CVの紙面から自分のプロフェッショナルとしての価値を感じられるか?

このような意識とともに戦略的に考え抜いたCVを作り上げること。これさえできれば、面接に呼ばれる可能性は格段に高くなると僕は考えています。F1に限らず海外での就職を目指している人は、自分自身の珠玉のCVをぜひ作り上げることを強くおススメします。

次回はいよいよF1的な就職活動のススメの最終回となります。最終回は『F1就職最前線』をお届けする予定です。次回更新もどうぞお楽しみに!

[つづきはコチラ]

2018年10月13日

F1的な就職活動のススメ【英語の重要性その③】

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身近になりつつある英語の存在


今回のブログでは僕がこれまでに『英語の勉強を続けて良かったなぁ』と感じたことを紹介したいと思います。今、僕は英語を使って仕事をしていますが、ただそれだけで英語を学んだ価値があったとは思いません。F1の世界へと繋がる道程の中で、英語力があったからこそ得られたチャンスがたくさんありました。

僕の好きなOxfordの街並み
ところで、日本に帰国するたびにいつも感じることがあります。それは『来日する外国人がたくさんいるなぁ』ということです。僕が社会人になった時(2003年)にはこんなことを感じたことはなかったのですが、いよいよ日本国内でも英語力を活用するチャンスが増えてきたようです。グッと世界が近づいた感じがして良いと思いますが、皆さんはどうでしょうか?

世界の拡張と情報収集


英語を身に着けたことによって『世界が拡がった』とは多くの人が言っているかと思いますが、僕もそう感じることのできた一人でした。外国人の友達ができた時、その友達と一緒にどこかへ遊びにいった時、そして海外出張などでその友達と再会した時、様々なシーンで世界の拡がりを感じることができましたが、それ以上に重要な世界の拡がりがありました。

それは英語で書かれた『情報の世界』です。

F1エンジニアになって以来、F1へのキャリアについての質問をたくさん頂きましたが、実を言うと頂いた質問の答えの多くはGoogleで英語検索すれば簡単に手に入る情報ばかりでした。必要としている情報はすぐ身近に存在しているのに、そのことに気付けない…これは本当にもったいないと思います。

一つの例を挙げてみたいと思います。

ヨーロッパで就職する場合、CVと呼ばれる履歴書を人事に提出する必要があるのですが、日本の履歴書とは全く異なるフォーマットのため、そもそもどうやって書いたら良いのか分からないという人が少なくありません。こんな時にちょっとした英語力と情報検索リテラシーがあれば、知りたい情報に簡単に辿り着くことができます。

その情報へのアクセスの仕方のサンプルがコレ↓です。

"CV How to write"
情報へのトビラ
CVという単語に対してたった三つの単語"How to write"を付け加えて検索するだけで、目的とする情報に容易に到達することができます。このようなスキルはいったん身に着けてしまえば当たり前のように活用するようになるのですが、それが当たり前になるまではちょっと時間が掛かるかも知れません。

僕の場合、ゆっくりながらも英語を地道に勉強し続けた結果、日本語だけでは得ることの難しい貴重な情報に辿り着けるようになりました。


可能性を掴み獲る力


ブログの内容を考えている時、僕はヒントとなるアイデアを備忘録がわりにTwitterでつぶやくことがあります。今回のブログはまさにそのパターンなのですが、ここで次の僕のTweetを読んで下さい。


実はこのTweetに書いた『自分の力』は『英語力』を意図したものです。これまでのブログでも紹介したように、F1を目指す道程でたくさんの出会いがありました。その中には自分のキャリアを大きく左右した貴重な出会いもあり、英語を学びヨーロッパ圏の文化を知ったからこそ得られた出会いでした。

人との出会いなど将来の可能性に繋がるチャンスは、常に身近なところに存在していると僕は考えています。そのチャンスに気付けるようになるには、いくつかの『力』が必要となりますが、僕にとっての英語は外国人とのコミュニケーションツールとしてだけでなく、チャンスを掴み獲るために絶対に欠かすことのできない重要な力となったのです。

手遅れになる前に…


見えてこないチャンスのために英語学習のモチベーション維持することはとても難しいですし、不安を覚えることもあるでしょう。逆に人によっては『英語は必要な時になったら、その時に必死に勉強すればいいや~』と思って、手つかずのままでいる人もいるかも知れません。

しかし、これだけは覚えておいてください。とても残酷なことにチャンスというものは無限に存在するものではなく絶対的に有限です。そして、時間が経てば経つほどチャンスは失われていくのです。そうならないためにも『見えない可能性はいずれ見えてくるようになる!』と思い込み、将来訪れるであろうチャンスを確実に仕留められるよう、若い頃から準備しておくことを強くオススメします。

…と、ちょっと重い感じで書いてしまいましたが(汗)、英語を学ぶことは目標が何であれ、人生に少なからずプラスをもたらしてくれると思います。皆さんにとっても英語がそんな存在になってくれることを切に願っています。

情熱の炎は絶やしてはならないが…
3回に渡って英語の重要性について書き綴ってきましたが、いかがでしたでしょうか?F1を目指す皆さんにとってこの3回のブログが英語学習のモチベーションに繋がってくれれば幸いです。

次回以降のブログではF1チームへの応募方法やCV(履歴書)、Cover letter(挨拶状)などについて書く予定です。F1への情熱だけを伝えても採用してくれないのがF1チームへの就職というもの。どんなポジションであれF1チームの契約オファーを獲得するには、自分の実力をCVやCover letterでどう伝えるのかがとても重要になります。

それでは次回更新をどうぞお楽しみに!

[つづきはコチラ]

2018年9月20日

F1的な就職活動のススメ【英語の重要性その②】

[前回のブログ]
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英語学習の取り組みについて


今回のブログでは僕が具体的にどのような取り組みで英語力を磨いていったのかを紹介しようと思います。ただし!最初に断っておきますが、世の中には僕よりも英語のできる日本人の方はたくさんいらっしゃいますし、英語教育のプロの方もいるので今回のブログはあくまで"ご参考"ということでお願いします。

英語学習に活用していたDVD
まず始めに僕の考える英語学習の本質課題から書いてみたいと思います。今回もF1とは全く無関係なトピックスですがお付き合いください。

英語の苦手意識はどこからくる?


いきなりですが、次の英語の文章をサッと読んでみて下さい。

"Prime Minister Theresa May wants to keep close ties with the EU in certain areas, such as trade in agricultural products and allowing skilled migrants access to jobs in the UK.

She says her plan will allow Britain to take back control of its laws, money and borders, just like people voted for in the 2016 EU referendum, while also allowing as 'frictionless' trade as possible and avoiding a physical border for Northern Ireland"

(出展:BBC News "At-a-glance: The UK'2 four Brexit options")

(引用元:BBC News公式サイト)
はい、どうでしたか?イギリス首相テレーザ・メイ氏がEUとの関係を今後どのようにしていきたいと考えているのか理解できたでしょうか??恐らく…ですが、『良く分からないし、とりあえず英語は読まずにすっ飛したぞ…』という人も中にはいるかと思います(汗)。

では次の例文はどうでしょうか?

"I play the game with PS4"

和訳は『私はPS4でそのゲームをプレイします』ですね?おそらく、文章の意味を直感的にすぐに理解できた人が多いかと思います。この文章が理解しやすいのは単に文章が短いだけでなく、使われている単語が『ゲーム(game)』、『プレイ(play)』といった日本人に馴染み深い言葉が使われているからだと思いませんか?

つまり、二つ目の例文に使われている英単語のように、単語の意味のイメージがアタマに刷り込まれてさえいれば、容易に意味が理解できるようになるわけです。しかし、この刷り込みができていないとアタマにスッと意味が入ってこないため、脳がストレスを貯めてしまうわけです。このストレスこそが英語への苦手意識を生み出していると僕は考えています。


僕が実際に取り組んだ英語学習


それでは僕がこれまでに取り組んできた英語学習を紹介したいと思います。全てを計画的に生真面目に実行してきたわけではありませんが、のんびりと、慌てずに、急がずに、地味~に、そして時にはサボりつつ取り組んできたことをここに書いておきます(汗)。

英字新聞[読解力トレーニング]

この学習をしていた当時はスマホやタブレットが普及していなかったので、日系英字新聞を定期購読していました。毎日届くわけではなく指定した曜日の新聞が届くサービスだったと思います。さすがに毎日届いても読み切れないので、僕は週一回の配布を選んでいました。

届いた英字新聞はカバンにいつも入れておき、移動時間や休み時間に読んでいました。今となってはスマートフォンで英字新聞サイトがカンタンに閲覧できるので、英語読解力の向上に取り組んでみてはどうでしょうか?最初はなじみやすい日本の時事ニュースを英語で読むのが分かり易くて良いかと思います。

(引用元:Japan times公式サイト)

モータースポーツ好きならイギリスのAutosportもお勧めです。ちょっと英語は難しくなりますがAutosportはゴシップ記事を掲載しないポリシーなので、確かな取材に基づく良質な情報が得られるのでおススメです。

DVD鑑賞・BBC Podcast[聴覚力トレーニング]

もはや英語学習の鉄板と言っても良い学習アイテムですね。僕の場合は比較的理解のしやすいジブリ映画のDVDを英語音声で鑑賞していました。また、ディズニー映画のDVDも英語音声でしか見ません。

DVD鑑賞は取り組みやすい英語学習なので継続的な取り組みをおすすめしたいです。取り組み方の一例として、最初は日本語字幕を活用して英語の音と意味を関連付け、その後に英語字幕にスイッチ、最後は字幕なしで見るようにすると良いかなと思います。

BBC Learning English公式サイト

次にオススメしたいのがイギリス放送協会BBCが提供する英語学習サイト"BBC Learning English"です。そのプログラムの中に"6 minute English"というページがあります。この番組では様々なトピックスを聞き取りやすいイギリス英語で学ぶことができるのでとてもオススメです。他にもたくさんのコンテンツがpodcastとしても配信されているので、ぜひチェックしてみてください。

メールコミュニケーション[表現力トレーニング]

このトレーニングは他と比べてちょっと敷居が高くなります(汗)。なぜならコミュニケーションを取る外国人の相手が必要なためです。いきなり外国人の友達を作るのはちょっと難しいかも分かりませんが、自分の場合は仕事を通じて仲の良くなった友人とメールで近況報告のやり取りをすることで英語を書く機会を作っていました。

また、日産自動車で働いていた頃は海外企業との共同プロジェクトを任せてもらえるよう積極的に上司に働きかけ、英語コミュニケーションの機会を作っていました。英語を使う仕事を積極的に任せてほしいという人は逆に珍しかったので、機会は得やすかったかも?知れません。

出張で訪れたApplus IDIADAのテストコース(公式サイトより引用)

仕事で得られる英語コミュニケーションの機会はメールのやり取りだけでなく、プレゼンテーションのリスニングや海外出張など緊張感を伴うタスクも多いため、英語力向上にとても貢献してくれたように思います。

ところで、10年くらい前に友人へ送ったメールを見直してみたのですが、恥ずかしいくらい稚拙な英語で書かれていてビックリしました(汗)。『いやーそうは書かないよね…?こう書かないと!』といった感じで昔の自分にツッコミを入れてしまいましたが、あれから10年経ち、積み重ねの大切さを改めて痛感した次第です 。

英会話学校[会話力トレーニング]

英語を学習する上で最難関となるのが『英語を話す力』の獲得です。とにかくアタマの中の考えを瞬時に英語にして話し続けなくてはならないのですが、先に書いたように英語の意味のイメージ刷り込みができていないと話すのはかなり難しいと思います。

ともあれ英会話力は話すことでしか伸びませんし、イメージ刷り込みをより深めるためにも僕は英会話学校に毎週通っていました。お小遣いが厳しかったので週一回だけでしたが『いずれこの投資が役に立つ日が来る!』と信じながら英会話を楽しんでいました。

ドライバーとのコミュニケーションももちろん英語
(引用元:フォースインディア公式サイト)

しかし、英会話学校に通う場合どうしても学費(週一回で月額一万円ほど)が必要になってしまいますよね。なので、自分から積極的に英会話の機会を作るのも良いと思います。例えば最近は外国人観光客がとても増えているので、地図を見て困っている人がいれば道案内をしてあげたりするのも良いかも知れません。

昨年の一時帰国中、新宿駅でどのホームに行けば分からずに困っていた外国人がいたので『吉祥寺なら総武線で三鷹行きに乗るといいですよ。中野行きに間違えて乗っちゃうといけないので、ホームまで案内しますね』といった感じで道案内をしてあげたことがあります。結果的に自分が終電を逃してしまいましたが(笑)。

このように、日常生活でも英会話をする機会は昔に比べて増えていますし、友人関係を辿っていけば外国人の友人を作ることも不可能ではないと思います。ぜひ、自分から積極的に英会話の機会を追い求めてみることをオススメします。

僕の考える重要ポイント

4つのカテゴリごとに僕の取り組みを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?何か特別なことをしていたわけではなく一般的な勉強方法だったかと思います。最後に、僕の考える英語学習の大切なことを二点ほど書いて、今回のブログを締めたいと思います。

重要ポイントその①

英語に触れる機会を増やす努力をしましょう。待っていても英語を使う機会が増えることはありませんし、とにかく積極的な姿勢を保っていないと日本で英語力を伸ばすのは難しいかなと思います。

重要ポイントその②

どんな英語の学習方法であれ続けること。僕は純粋な日本語話者ですし、今も自分の英語力が十分であるとは思っていません。英語を必要とする限り、ずっと英語学習を続けるつもりでいます。

千里の道も一歩から、ちりも積もれば山となります。一緒に英語学習を頑張っていきませんか??

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2018年9月15日

F1的な就職活動のススメ【英語の重要性その①】

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英語と仕事と


今回のブログのテーマはズバリ『英語』です。このテーマで書き始めてみたところ、どうも一回きりでは書き切れなさそうだったので、複数回に渡って英語をテーマに書いていこうと思います。

さて、先日のport Fさん主催のトークイベントでは参加者の方々から事前に質問を募りましたが、その中には『どうやって英語を勉強しましたか?』という質問がとても多く見られ、英語学習への関心が高いことが分かりました。トークイベントでその質問にお答えすることはできるものの、その答えはより多くの人に伝えた方が良いと考え、ブログテーマとしてお答えすることにしました。

英語リーディングもF1関係ならヤル気が出るかも?
今回のブログでは、僕の学習方法を単に紹介するだけではなく、英語を身に着けたことで何が変わったのか?F1を目指す上でなぜ英語が重要なのか?そのことについても書き触れてみたいと思います。

僕の英語の歴史


最近では幼稚園の頃から子供を英語教室に通わせるなど幼少期からの英語教育が流行っていますが、すでに40歳を過ぎている僕が英語学習を始めたのは中学一年生からです。そう、僕は基礎言語が日本語の純粋な日本人です(汗)。

学生生活で実際に外国人とコミュニケーションした経験はほぼゼロで、英語は学校で学ぶ科目の一つに過ぎませんでした。中学生以降はとにかく受験を切り抜けるために仕方なく勉強していました。数学、物理、化学は好きだったのですが、普段から使い道がほとんどない英語は僕にとって楽しくない&苦手な科目でした。

さらに国語も得意ではなく、大学入試センター試験の国語は最も苦手意識の高いテストでした。例えば、物語文の読解問題では『この時の主人公Aの気持ちとして適切なものを次から選べ。』という設問をよく見かけますが、『いや、俺、主人公Aじゃないし気持なんか分からんし。』…結果、自分の価値観で選んでしまい得点が伸びないという困った高校生でした(汗)。

Oxford University Christ church college
実は大学時代に父親から『1年くらい休学して海外の大学に留学してみたらどう?』と提案されたことがあったのですが、僕はその提案に対して『今はカートレース活動の方が大事だし、留学費用を出してくれるくらいならレース活動の資金として提供してくれる方がありがたいよ!』と返答したのです。

今となっては調子に乗ったこの発言を猛省することしきりですが、内心では『日本語の通用しない世界に踏み出すなんて恐くてできっこない!』と思っていました。もし、かつての自分に会うことができるのであれば『留学もいいぞ~』と間違いなく説得していたと思いますが(笑)。

と、ここまでの僕の英語学習の経緯を知れば、最初から英語達者ではなかったことが分かると思います。決して今も達者と言える程のレベルではないのですが、いわゆる『学校では勉強したけど、英会話とかは全然ダメ!』そういったごく普通の日本人でした。ちなみに初海外は2005年の28歳の時で、当時勤務していた三菱自動車で出張としてイギリスに渡りました。完全に日本語の通じない世界に初めて踏み入った時のあの緊張感は忘れることができません。


英語学習のキッカケ


僕が英語学習を本格的に開始したのは学生時代に就職活動を迎えた時でした。これまた普通のキッカケですね(汗)。しかもご多分に漏れず、まずはTOEICの受験から始めるという王道パターンでした。当時は今ほどTOEICの点数が企業採用として重要視されていなかったため、就職活動のためというよりも純粋に英語力確認のためにTOEICを初受験(確か2002年)したことを記憶しています。

ところで、僕がかつて勤務していた日産自動車は今では新卒入社時にTOEICで700点以上が求められるそうです。ルノーとのアライアンスのためか、これまで以上に業務で英語を使う機会が増えており、要求レベルは年々高まっているようです。

(引用元:国際ビジネスコミュニケーション協会公式サイト)
何はともあれ、就職活動をキッカケに英語学習を本格的に再開することになったのですが、TOEICに対してはあるポリシーを持って取り組んでいました。それは『TOEICのための勉強はしない』ということです。いずれF1の世界で働くために必要なのは、コミュニケーションツールとしての英語力でありTOEICの点数ではないと考えたからです。あくまでTOEICは実力を測るためのモノサシにしか過ぎません。

そんな僕のTOEIC初受験の時のスコアは510点でした。リスニングとリーディングの点数の内訳は覚えていませんが、リスニングの方が少しだけ良かったと記憶しています。この点数レベルで確実に言えるのは、大学生の頃の自分にはイギリスでエンジニアとして働けるだけの英語力は全くなかったということです。そんな僕が今となっては英語をそれなりに使いこなしてF1エンジニアとして働いているわけですから世の中分からないものです。大学生の頃はこんな風になっていることなど想像すらできませんでしたし、そもそもその頃の僕の予定ではホンダでF1の仕事に携わっているはずでした(笑)。

次回のブログでは、TOEICスコア500点台からどのようにして英語力を向上させていったのか?具体的な取り組み方を紹介しようと思います。

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2018年6月17日

僕がF1エンジニアになるまで【第三次転職活動編②】

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最後の鍵を求めて


様々な紆余曲折を経て、ようやく…ようやく掴み取ることのできたフォースインディアF1チームとの面接の機会。この面接で失敗することはF1への道がほぼ閉ざされることを意味していました。そんな状況は精神的にラクではありませんでしたが、不思議と悲観的にはなっていませんでした。

なぜなら、それまでに受けてきた面接を経て自分に足りないものが何なのか?そのことがかなり明確になってきていたからです。その足りないものをきっちりと補うことが出来れば可能性は十分にある…そう感じていました。

僕の取った面接への対策とは…
今回のブログでは、フォースインディアF1チームとの面接に向けて僕がどのような心構えを持ち、どのようなことをして面接に臨んだのか?ということについて紹介しようと思います。

後悔は最初からいらない。


『自分にやれることは全部やりました。残念ながら望んだ結果を得ることはできませんでしたが、後悔はありません。』どこかで聞いたことのあるような言葉ですが、そんな結末を迎えたくなかった僕は、全く異なる意識を持つようになりました。それはこんな意識でした。

『どこまでやれば後悔せずに済み、望みうる結果を得られる?』

誰しも失敗に終わることなど望みませんが、目標を達成するためにどこまでやればいいのか?それを明確にせずに『とりあえず思いつくことをひたすらやってみた』だけでは不十分と考えたのです。もちろん、考えに考えを重ねたところで『どこまでやればよいのか?』という疑問への正解に辿り着くことは絶対にできません。けれども限りなく正解に近づくことはできるはずです。

自分に後悔なんていらない…そう思いつつ自分の課題をとことん見つめなおすことにしたのです。


面接で直面した課題とは?


当時の自分の課題を簡単に表現するのであれば『伝えるべきこと』、『伝えたいこと』が相手に伝わっていないということでしょう。自分のCV(履歴書)に関しては多くのアップデートを重ねて改善した結果、読み手に自分の技術力や強みが伝わるようになっていたのですが、肝心の面接となるとイマイチという状況でした。

そもそも英語が母国語ではないので、他の候補者と比べると表現力という点ではまず敵いません。この課題に対して僕がどのような対策を取ったのか?それをここで紹介しようと思います。

作成した面接用の資料
①説明のストーリーラインを設計する
僕が受けた面接で全てに共通していたのは、面接開始早々から自己紹介もほどほどに『じゃ、早速ですけど、これまでにどんな仕事をしてきたのか説明してください。』と要望されたことでした。志望動機などは一度も聞かれたことはありません(汗)。

その説明の最中、面接担当のエンジニアは僕に対して様々なことを質問します。面接官はその質問の答えから僕の技術力や考察力を推し量るわけですが、そういった質問こそが面接官の『強い関心事』であるわけです。ならば、その『強い関心事』を想定した上で説明のストーリーラインを作れば、面接官にとって理解しやすく、説得力のある説明になるのではないか?

そう考えた僕は、それまでに受けた質問を思い返し、さらに自分が面接する側の立場であったらどんな質問をするか?そんな想定を交えながら質問を洗い出し、説明のストーリーラインを設計していったのです。

②ストーリーラインに基づくプレゼン資料を用意する
技術を言葉だけで説明することは、その言語が何であれ難しいものです。日本語での説明であっても難しいことがあるのに、それが英語であればなおさら難しくなってしまいます。そんな時に最も効果を発揮するのが、ビジュアル化された資料です。

このような資料において最も重要となることは、技術のエッセンスとなる部分を優先的に資料へ掲載し、できる限りシンプルにまとめることです。シンプルな概要図で全体をおおよそ理解してもらい、詳細を口頭で補足する。こんなスタイルでの技術説明を心掛けるようにしたのです。

業務説明の資料サンプル
面接の時に自分が持ちうる実力が100であったとします。しかし、それが80しかないように見えてしまうのではもったいないだけです。面接では100の実力を100の実力としてキッチリ伝えることが本当に大切です。日本人にとっては就労ビザという課題もあるだけに、こういった資料を活用して無用な損失を被らなかったことは、成功の秘訣の一つとなったように思います。

そして迎えた面接は…


僕がフォースインディアF1チームの面接を受けたのは2016年7月18日のことでした。この面接に向け、僕はほぼ全ての時間を準備に充てがいました。

迎えた面接当日。受付を済ませ、緊張しながらロビーで待っていた時のことです。日本人らしき長身の男性が僕の目の前を通り過ぎました。それはチーフデザイナーの羽下さんでした。思わず声を掛けて挨拶したところ、静かな声で『頑張ってね。』という激励を頂き、握手して頂けたことが想い出に残っています。

フォースインディアF1チームのファクトリーの看板
しばらくすると、二階から面接を担当するエンジニアの2人がロビーに降りてきました。手短な自己紹介と握手を交わした後は面接会場となる会議室へ案内され、いよいよ運命を決する面接が始まりました。この時の緊張感は…恐らく…人生で後にも先にも超えることはないであろうフェルスタッ…いえ、マックス状態だったと思います(汗)。

面接が始まったのは14時で、終わったのは18時。4時間にもおよぶ長時間の面接になったのですが、僕にとってはあっという間の時間でした。そして、僕が人生で経験した面接の中で最もワクワクできる楽しい面接となったのです。

面接対策は大きく功を奏したのですが、想定以上に効果を発揮したようで、面接というよりも面接官との技術談義となってしまったのです。質問はもはや面接官本人の知的好奇心によるものになっていました。

考えた時間∝自分の進化


面接を終えた僕はシルバーストーンを後にし、滞在先のホテルに戻りました。全身全霊のパワーを出し尽くし、精根尽き果てた僕はホテルのベッドで大の字になって寝転びました。その日の時点で確実なことは何一つありませんでしたが、僕の心の中には確固たる自信が芽生えていました。『残念で後悔するような結果にはならない』と。

フォースインディアF1チームの正門
フォースインディアF1チームとの面接に向けて僕は色々なことを考えては実践しました。その全てに効果があったとは思いませんが、『自分の進化は、考えた時間に比例する』ということを学べたように思います。

『失敗する可能性をゼロにすることはできないが、考えに考え抜いて行動すれば成功する可能性は必ず高まるはず…』

ベッドに寝転び、天井を見上げていた僕はこんなことを考えつつ、深い眠りに落ちていったのです。

[つづきはコチラ]


【目次】僕がF1エンジニアになるまで


01. はじめに

02. 学生就職活動編①
03. 学生就職活動編②

04. 三菱自動車時代①
05. 三菱自動車時代②
06. 三菱自動車時代③

07. 第一次転職活動編①
08. 第一次転職活動編②

09. 日産自動車時代編①
10. 日産自動車時代編②
11. 日産自動車時代編③

12. 第二次転職活動編①
13. 第二次転職活動編②
14. 第二次転職活動編③
15. 第二次転職活動編④

16. フランス修行編①
17. フランス修行編②

18. 第三次転職活動編①
19. 第三次転職活動編②

20. 神様のプレゼント編

21. 完結編①
22. 完結編②

2018年6月12日

僕がF1エンジニアになるまで【第三次転職活動編①】

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F1への最後のチャレンジ


まさかの解雇通告を受けた日の翌日。失意の僕に千載一遇のチャンスが巡ってきました。それがフォースインディアF1チームからの面接の連絡でした。まさに捨てる神あれば拾う神ありです。

前回のブログでも少し書きましたが、Siemens Industry Software SASでの仕事が6ヶ月が経過した時点でF1への転職活動を再開していました。フランスでの仕事経験はたったの6ヶ月ではあったものの、転職活動再開から3ヶ月で面接に呼ばれた回数はなんと3回もありました。日本にいた頃に比べると圧倒的なペースで面接に呼ばれていたのです。やはりヨーロッパに来たことは正解だった…そう実感できました。

Circuit de Catalunya
僕のこれまでの転職活動と言えば、もはや因縁と言っても良いでしょう。"あの企業"とも、ちょっとした接点があったのですが、そのエピソードも含めて第三次転職活動で関わりのあったチームを紹介したいと思います。

HAAS F1 Team


このチームは日本人のF1ファンの皆さんにとってはお馴染みのチームでしょう。そう、チーフレースエンジニアの小松礼雄さんが有名かと思います。当時はチームの人員補強のため、積極的に採用をしていたようです。僕がこの時に応募したポジションはPerformance Engineerでした。

HAAS F1 VF-18(引用元:HAAS F1 Team公式サイト)
ある日の仕事中のことでした。僕の携帯電話が鳴りました。画面を見ると国番号+1の国際電話の着信でした。『んんんん?アメリカ?アメリカのSiemensかな?』と思い、電話に出てみると『!@#$%^&*』と怒涛の勢いで英語を話してくる女性からでした。

『あ、あのすみませんが、会社名をもう一度おっしゃって頂けます?』

と落ち着きを促すようにゆっくりとお願いすると…

『HAAS F1 Teamです。』

『あ!(…そういえば応募してたな…)』

完全に油断していました。応募した時点では『自分の経歴とは毛色の違うポジションかもなぁ…』と感じていたので、先方から連絡がくることは全く想定していませんでした。『ま、可能性はゼロじゃないし、とにかく応募してみよう』という感じでの応募だったのです。

『今から電話面接をしたいのですが…』

『え?!今からですか?!ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい(汗)!』

まさかのタイミングだったので準備らしい準備もできず、メモとペンを持ってすぐに自席を離れ、人影の少ないエレベータホールへと移動しました。今思えば『仕事中なので日を改めさせて頂けませんか?』とお願いすれば良かったかも知れません。突然の電話面接で、場所は職場を眼前にしたエレベータホール。心の準備も何もないままでの面接は、全く手ごたえがありませんでした(汗)。そして予想通り、HAAS F1 Teamとは縁がありませんでした。ここでの反省は『いつ何が起きても良いようにしっかりと準備をしておくこと』でした。

後日分かったことですが、HAAS F1チームはこの頃、イギリスのTier2ビザのスポンサー資格を持っていなかったため、いずれにせよHAAS F1チームからオファーをもらえることはなかったようです。

Williams Advanced Engineering(WAE)


F1部門ではありませんでしたが、同じ敷地内にありますし、F1への足掛かりにもなりそうだったのでWAEの採用告知も常にチェックしていました。ある日、Control System Engineerのポジションの採用が告知されたので『イケそうな気がする!』と思い、すぐに応募しました。

すると1週間ほどで面接の連絡があったのです。国内での転職活動中は何度も応募していたWilliamsでしたが、初めて面接に呼んでもらうことができました。しかも、応募してすぐにレスポンスがあったのには驚きました。

Jaguar Formula-e (引用元:Williams Advanced Engineering
ちなみにWAEではジャガーのFormula-eチームの運営を担当していますが、モータースポーツ以外にも様々なクルマの開発も受託しており、仕事内容はなかなかエキサイティングな内容でした。ちなみに面接を担当してくれた方はフランス人でしたので、面接の冒頭はフランス語を少しだけ話しました。

WAEとの面接は電話面接だったのですが、ここでも手ごたえは得られず…でした。結果も予想通りオファーに繋がりませんでした。この頃から『どうも自分の強みが相手に伝わりきっていない…』そう感じるようになり、もっと対策が必要と考えるようになりました。


Honda F1 (Milton Keynes)


はい。因縁のHondaさんです。 と、いってもHRD SakuraではなくHonda F1のイギリスでの開発拠点であるMilton Keynesのポジションへの応募でした。2016年当時は頻繁に募集がかかっていたので、内情は推して図るべし…といったところでしょうか(汗)。肝心の僕の応募の見通しとしては、僕にエンジン系の開発経験が無かったので面接に呼ばれるのはちょっと厳しいかな…と思っていました。

(引用元:motorsportsjobs.com)
で、案の定、面接には呼ばれませんでした…。ちなみに冒頭で『接点があった』と書きましたが、このポジションへの応募が接点ではありません。

実は2016年の3月のプレシーズンテストを見学するためにカタルーニャサーキットを訪れていたのですが、パドックで運良く長谷川総責任者に遭遇し、僕の履歴書を手渡しさせて頂いたのです。長谷川さんからすれば、いきなり話しかけてきた怪しげな日本人に『何なの?コイツ?』と思ったに違いません。もう2年以上前のことですし、当時はかなりの激務だったかと思うので、ご本人はもう覚えていないかも知れませんが(汗)。

今となっては良い想い出ですが、現在はホンダに深く関わる方々と家族ぐるみのお付き合いになるなど、仕事以外での繋がりで大変お世話になっています。

Scuderia Toro Rosso


え?!と思った方も少なくないと思います。この話は後日談なのですが、すでにフォースインディアで働いていた昨年のことです。トロ・ロッソとホンダの提携が公表された直後に『ウチに興味ありませんか?』とトロ・ロッソの人事から直接連絡を頂いたのです。

(引用元:Scuderia Toro Rosso公式サイト)
トロ・ロッソの開発拠点であるイタリアのファエンツァに日本人エンジニアがいると助かると考えてたのでしょう。彼らからすれば、日本語と英語の語学スキルに加え、ヨーロッパの文化にも慣れていて、技術にも明るい日本人エンジニアがいれば心強いと考えるのは自然なことです。ただ、僕はフォースインディアでの仕事に本当に満足していましたし、日本⇒フランス⇒イギリス⇒イタリアと移住を繰り返すのはさすがに無理…と思い、丁重にお断りさせて頂きました。

F1への扉を開く最後の大切な鍵


幸いなことに短期間の間で2回の面接の機会に恵まれたは良いものの、最終的に契約オファーを得るために『何か』が足りない…そう痛感するようになりました。

フォースインディアF1チームとの面接が失敗に終われば、F1への夢はその時点でゲームオーバーとなってしまいます。文字通り崖っぷちの状況でしたが、まさにこの時、ゲームオーバーとならないようにするべく、僕の意識は更なる高みへと登り詰めようとするのでした。

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【目次】僕がF1エンジニアになるまで


01. はじめに

02. 学生就職活動編①
03. 学生就職活動編②

04. 三菱自動車時代①
05. 三菱自動車時代②
06. 三菱自動車時代③

07. 第一次転職活動編①
08. 第一次転職活動編②

09. 日産自動車時代編①
10. 日産自動車時代編②
11. 日産自動車時代編③

12. 第二次転職活動編①
13. 第二次転職活動編②
14. 第二次転職活動編③
15. 第二次転職活動編④

16. フランス修行編①
17. フランス修行編②

18. 第三次転職活動編①
19. 第三次転職活動編②

20. 神様のプレゼント編

21. 完結編①
22. 完結編②

2018年6月8日

僕がF1エンジニアになるまで【フランス修行編②】

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フランスでの大失敗


フランスでのエンジニア生活も半年を過ぎると、苦しみつつもそれなりの成果が出せるようになってきていました。そして、少し早いかな?と思いつつも、半年を過ぎた時点でF1チームへの就職活動も再開しました。その時の成果は第三次転職活動編で詳しく書くこととして、今回のブログでは僕が直面した『人生最大の危機』について書こうと思います。

直面した危機はこの美しい街で起きた
正直なところ、この『人生最大の危機』を書くことは自分にとって、つらくもあり恥ずかしくもあり、出来れば誰にも言わずに、ずっと心の中にしまっておきたい…というのが正直なところです。しかし、この失敗がF1入りへのキッカケとなったことも事実です。当時の自分を反省し、今後の教訓として残すため包み隠さず書こうと思います。

労働契約と僕の楽しみ


欧米では労働契約書にサインをすることで契約が成立し、その会社で働くことになります。契約書には年収、労働時間、試用期間の長さ、福利厚生、退職時の条件など様々な条項が盛り込まれています。当時の僕の契約には試用期間終了後に会社からカンパニーカーが支給される条項が盛り込まれており、他の同僚と比べると少しばかり好条件だったと思います。

この時の契約書の条項に書かれていた試用期間は9ヶ月。9ヶ月経過後に上司からのレビューを受け、その後本契約へと切り替わります。当時の僕はそのレビューが終わって本契約に移行することを楽しみにしていました。

Renault Megane
その理由はもちろん、会社から支給されるクルマです。クルマがあれば行動範囲は格段に広くなりますし(←まずはリヨン郊外にあるカートコースに行きたかった)、クルマの運転のない生活はクルマ好きには少々ツラい日々でした。

仕事でプレッシャーにさらされる日々の中『う~む、新型のメガーヌも捨てがたい…』とクルマ選びで悩むことはクルマ好きの自分にとっては良い気分転換になっていました。


そして迎えた試用期間の終了…


Siemens Industry Software SASでの9ヶ月を終えた僕は、いよいよ試用期間のレビューの時期を迎えました。このレビューには二つのステップがあり、最初は他部署マネージャによる一次レビューで、自部署のマネージャとの面談は最終レビューとなっていました。

一次レビューでは少々苦戦しましたが、どうにか最終レビューの日を迎えました。レビュー会場となっている会議室で待っていると、マネージャだけでなく部長と人事も会議室に入ってきました。『ずいぶんと厳かな出席者だな…』と思うと同時にイヤな予感がしました。

打ち合わせが始まると、僕の前に一枚の書類が提示されました。そして、レビュー早々にマネージャーが口にした言葉は…

『試用期間はこれで終了するけど、契約は更改しないことに決まったよ。』

『は…??(言葉を失う自分…)』

『契約終了の条件がここに書いてあるから内容を確認して署名してくれるかな?』

『…どういうことでしょうか?』

『会社として、君のこの9ヶ月間のパフォーマンスには満足できなかったんだ。だから、契約を打ち切るということなんだ。』

『つまり、クビ…ということですね…?』

『そうは言わないが、契約は更新できないということなんだ。』

『……。』

人生最大の危機。それは会社からの解雇でした。38歳にして人生初の解雇通告を、それも日本から遠く離れたフランスで経験してしまったのです。当然『なぜ?どうして?』という考えが頭の中を駆け巡りました。

もちろんその時は納得がいきませんでした。なぜ解雇なのか?自分のパフォーマンスのどこに問題があったのか?その時は冷静さを欠いていたこともあって全てのことが理解できませんでした。しかし、解雇は解雇です。解雇に至った理由がかなり特殊であったことは後日分かりましたが、その日は言われるがままに書類にサインをし、解雇という事実だけを持って帰宅したのでした。

現実と夢の狭間で


解雇を通告され、自宅に帰宅したその夜。

やるせない気持ち、憤りともいえる気持ちを一旦は脇に置き、すぐに次の仕事をどうするか思案し始めました。もはやF1への夢は風前の灯でした。フランスを拠点に仕事ができない以上、日本に戻ってどこかに就職する以外に選択肢はありません。

この時、最もつらかったのは妻への報告でした。せっかくチャンスをくれたのにその恩に報いるどころか、最悪な結果を伝えなくてはならなかったからです。家族のためにも、とにかく次の仕事を決めて収入を確保しなくてはなりません。もはや自分の夢をどうこう言っている余裕は全くありませんでした。

『F1への夢はもう諦める時なのかも知れない…』

しかし、ずっと追い求めてきたF1への夢。それを諦めることはこれまでに頑張ってきたことを全て自分で否定するような気がして簡単には受け入れられるものではありませんでした。

『僕はF1とは縁のない人生を送る運命の下にあって、受け入れざるを得ないのか…』

そんな思いが頭をよぎると張り裂けるような心の痛みに襲われ、強烈な葛藤の渦中で苦しみました。しかし、そんな僕の下に運命を完全に一変させる一通のメールが舞い込んできたのです。それは解雇通告を受けた翌日のことです。

それがフォースインディアF1チームからの面接の連絡だったのです。

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【目次】僕がF1エンジニアになるまで


01. はじめに

02. 学生就職活動編①
03. 学生就職活動編②

04. 三菱自動車時代①
05. 三菱自動車時代②
06. 三菱自動車時代③

07. 第一次転職活動編①
08. 第一次転職活動編②

09. 日産自動車時代編①
10. 日産自動車時代編②
11. 日産自動車時代編③

12. 第二次転職活動編①
13. 第二次転職活動編②
14. 第二次転職活動編③
15. 第二次転職活動編④

16. フランス修行編①
17. フランス修行編②

18. 第三次転職活動編①
19. 第三次転職活動編②

20. 神様のプレゼント編

21. 完結編①
22. 完結編②

2018年6月3日

僕がF1エンジニアになるまで【フランス修行編①】

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フランス、リヨンでの生活がスタート


初めての海外、しかもフランスでの生活。不安がなかったと言えばウソになりますが、どうにかフランスでの生活のスタートを切りました。そして、この時の僕に与えられた時間は2年。『2年で結果が出なければ日本に戻ること』それが妻と交わした約束だったからです。

La Cité Internationale de Lyon
まさに一日一日の仕事が勝負。新しい職場でどこまで成長できるか?それによってF1への道が開けるかどうかが決まる…。そんな緊張感とプレッシャーを感じながら過ごしたフランス生活を紹介します。

ヨーロッパでの働き方とは。


フランスに限らず、これは欧米では一般的なことだと思うのですが、仕事は契約書に記載されている就労時間を"守る"のが基本です。朝9時から夕方6時まで、月曜日~金曜日まで8時間働きます。多少の時間の前後はありますが、定時になるとあっさり帰宅するのが普通です。当初、生粋の日本人サラリーマンを卒業したばかりの僕は定時退社することを無意識的に躊躇していました(汗)。

一方で、求められている成果が日本企業よりもずっと明確に示されているので、僕個人の感想としては働きやすいと感じました。限られた8時間の中でいかに効率良く成果を出すか?そのことを強く意識するようにもなりました。8時間でキッチリ仕事をこなし、仕事が終わったあとは自己研鑽やリフレッシュする時間に充てる…そういうライフスタイルの良さに気付いたのもこの頃でした。

フランスでは一人でカートを楽しんでました(汗)。
とはいえ、全く残業しないのかと言うとそんなことはありません。プロジェクトの納期が近づいて忙しさが高まると周囲のメンバーも少なからず残業していました。それでも職場は8時にもなるとガラガラ(汗)。その様子を見て『やっぱり家族との時間を大切にしているんだな…』と感じました。

家族を日本に残し、自分の夢の実現のためだけにフランスで働ている自分にとって、そんな職場の同僚を見ていると羨ましいだけでなく、家族に申し訳ないな…と感じることも度々でした。


フランスでの仕事


Siemens Industry Software SASでの僕の役職名はSenior Project Engineerでした。主にプロジェクトマネージャーとして、時にはプロジェクトのメンバーとして、AMESimのモデル開発、実証データの取得実験を計画・実行することが仕事でした。自分のデスクはLyonで、実験となるとVillefrancheというリヨン郊外の街まで赴いて仕事をしていました。

Villefrancheの拠点
この会社の規模は日産と比べると圧倒的に小さかったこともあり、多くのことを自分一人でこなす必要がありましたが、基本的に仕事の進め方は個人の裁量に寄るところが大きいのが特徴でした。仕事の進め方について、あれこれ言われることがほとんどないのです。これはとてもストレスフリーな環境でした。

最初は小さなプロジェクトから始まり、日本の自動車メーカーから海外の自動車メーカーまで、この会社に所属していた10ヶ月でいくつかのプロジェクトの仕事を任せてもらいました。この時の僕はとにかく『カスタマーのために最大限の貢献を!』というテーマで日々の仕事に精を出していました。

AMESimのメカニカル‐油圧モデル(サンプル)
具体的な仕事の内容をここに書くことはできませんが、いわゆる理工学部機械工学科で学ぶ全ての学問をフル活用するような仕事でした。機械力学、熱力学、材料力学、流体力学、制御工学などです。さらに電子電気工学の基礎に加えてソフトウェアのコーディングスキルも必要です。

狂い始めた歯車


この頃の僕は無意識のうちにプレッシャーに負けていたのかも知れません。仕事は難しかったものの楽しむこともできていましたし、カスタマーである自動車メーカーの方々にも仕事の成果は喜んで頂けていたと思います。しかし、F1に向けて先の見えない日々は僕の心を少しずつ疲れさせていたのでしょう。

『この先、僕はどうなってしまうんだろう?』

F1への可能性を求め渡ってきたフランス。家族に多大な迷惑を掛けて渡ってきた海。時として襲ってくる強烈な不安…。仕事からの帰り道、家族を思い出しながら空を見上げると滲んで見える日もありました。

Lyonの夕暮れ…
『必死で頑張らなきゃ…。』

そんな強がりともいえる僕の気持ちが原因で、僕の心の歯車が少しずつ狂い始めていたのです。そのことに当時の自分は全く気付いていませんでした。そして、Siemens Industry Software SASで働き始めて9ヶ月が経過したある日、僕は大きなミスを犯したことに気付かされ、そして人生最大の危機に直面するのです。

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【目次】僕がF1エンジニアになるまで


01. はじめに

02. 学生就職活動編①
03. 学生就職活動編②

04. 三菱自動車時代①
05. 三菱自動車時代②
06. 三菱自動車時代③

07. 第一次転職活動編①
08. 第一次転職活動編②

09. 日産自動車時代編①
10. 日産自動車時代編②
11. 日産自動車時代編③

12. 第二次転職活動編①
13. 第二次転職活動編②
14. 第二次転職活動編③
15. 第二次転職活動編④

16. フランス修行編①
17. フランス修行編②

18. 第三次転職活動編①
19. 第三次転職活動編②

20. 神様のプレゼント編

21. 完結編①
22. 完結編②