はじめに
皆さんにとってミニ四駆とはどのような存在でしょうか?
今日では日本だけでなく、海外でも広く人気を博しているホビーとしてその存在感を輝かせているミニ四駆。僕は幼少の頃からミニ四駆に親しんできましたが、小学校の友達とミニ四駆に打ち込んだ日々と1988年第一回ジャパンカップに出場したことは、良い想い出として一生の宝物にもなっています。
さらに僕にとってのミニ四駆とは、エンジニアを志すキッカケとなった大切な存在でもあります。もしミニ四駆と出会っていなかったら、F1エンジニアになるどころか自動車工学エンジニアにすらなっていなかったかも知れません。
ダッシュ1号エンペラー(引用元:タミヤ公式サイト) |
そんな素晴らしさを持つミニ四駆ですが、F1エンジニアになるという目標を達成した今、お世話になったミニ四駆に何か恩返しができないか?そう思ったことがキッカケとなり、新たなブログテーマとしてミニ四駆を選ぶに至りました。
そして、決めたブログタイトルは 『ミニ四駆の運動と制御』です。
タイトル決定に当たっては安部正人氏の著書『自動車の運動と制御』の書名を大いに参考にさせて頂きましたが、文系理系、老若男女問わず、より多くの人にとって理解しやすいよう、数式による解説を出来る限り控え、図を交えながらの解説を心掛けるつもりです。時にはちょっと難しい専門用語が登場するかも知れませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
それでは『ミニ四駆の運動と制御』のスタートです!
お月様とミニ四駆の旋回運動
『は?なぜお月様?』と思われた方もいるかも分かりませんが(汗)、実はミニ四駆とお月様には大きく共通している点があるのです。まずは下の解説図を見てください。これは地球を中心に周る月の動きを表しています。
月の公転運動と自転運動 |
それではミニ四駆を始めとしたクルマの運動について着目してみましょう。まずは下の図を見てください。
公転だけするミニ四駆の動き |
公転と自転により旋回運動となる |
タイヤの基本のお話
ミニ四駆やクルマの旋回運動を解説する上でとても重要なファクターとなるパーツ。それがタイヤです。この節ではそのタイヤの基本について簡単に解説したいと思います。
ところで皆さんは走行中のクルマがどのようにして力を発生しているかご存知でしょうか?
実は、走行中のクルマのタイヤは広義にはスリップすることで力を発生しています(詳細についてはブリヂストンが刊行した書籍等を参照ください)。イメージとしては、回転するゴムで地面をひっかくような感じでしょうか?また、そのスリップ方向はタイヤの前後方向と左右方向(下図)に分けることができ、それぞれのスリップ量によって発生する力が変化します。
タイヤのスリップ方向 |
(引用元:F1公式YouTubeチャンネル) |
ミニ四駆の旋回メカニズムの詳細は今後のブログで少しずつ明らかにしていきますが、次節では、その旋回性能に大きく関係するタイヤの横方向の力を解説していきます。
タイヤのスリップ角とは?
前節では、タイヤがスリップすることによってタイヤが力を発生すると解説しましたが、タイヤがどのような状況になると力が発生するのかをここで解説します。次の図は、クルマを真上から見下ろした時のタイヤの状況を表しています。
タイヤの進行方向と前後方向が一致している時 |
タイヤの進行方向と前後方向が異なる時 |
少し専門用語が出てきましたが、スリップ角が発生すると横方向の力が発生するということをまずは覚えておきましょう。なお、横方向の速度が発生するメカニズムは今後のブログで改めて明らかにする予定です。
まとめ
以下、今回のまとめとなります。
- クルマの旋回運動は自転と公転によって成り立つ
- タイヤは広義にはスリップすることで力を発生する
- タイヤ横力はスリップ角によって生み出される
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