2019年3月10日

僕とF1とRCカーと【そしてF1へ】

[前回のブログ]
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タミヤグランプリでの成果


レース初出場からの1年は鳴かず飛ばずの成績でしたが、マシンの速さをブラッシュアップし、メンタリティの安定化に取り組んだ結果、少しずつ結果が伴うようになってきました。そして初レースからちょうど1年後に参戦したビギナーズクラス(2010年1月23日)。予選を総合1位で通過し、決勝ではAメイン2位表彰台を獲得!惜しくも優勝を逃しましたが、ようやくビギナーズクラスを卒業することができました。

ビギナーズクラスでポール獲得と準優勝したマシン
その後、中級クラスへの参戦を開始し、峠NE'X-グレード3クラス(2010年5月23日)では予選総合3位、決勝では何と初優勝(←人生初)を飾ることができました。その他のレースでも上位メインに入ることが多くなり、成長を実感できた一年になったのです。

余談ですが、好結果を出すことができた日は、その月の23日がなぜか多かったです。日産自動車の社員だったから?かも知れませんが、RCカーの趣味を始めてから僕にとって23日は何となく縁起の良い日になったようです(笑)。

初優勝した時のマシン(R35GT-R/TB03)
翌年の2011年8月21日に開催されたタミヤグランプリ全日本選手権の東京予選大会(出走台数は100台以上!)では、予選を11位で通過し、決勝では6位に入ることができました。この結果を受け、僕は所属するチーム内でのエースの称号を前エースの吉川氏から引き継ぐことになります(笑)。その後は、チームのエース(?)として2015年に活動を休止するまで継続してレースに参戦しました。

一つ心残りになっていること。

それは目標としていたタミヤ主催のワールドチャンピオン戦に届かなかったことです。この目標はいずれ達成したいと思っていますが、今はF1の世界での勝利を夢見ているので、この目標への再チャレンジはもうしばらく後のことになりそうです。

RCカーとの新たな想い出


社会人になってからRCカーの趣味を再開したことで、たくさんの想い出と仲間を作ることができました。タミヤグランプリには、東京大会、横浜大会だけでなく愛知大会と関西大会にも参加していたのですが、関西大会では地元の常連さんと仲良くなり、ピットをご一緒させて頂いたことも良い想い出です。今でも関西大会仲間の皆さんとはFacebookを通じて仲良くさせて頂いています。

真夏の関西大会も仲間のテントのおかげで快適!
共通の趣味を通じて仲間が出来ると、一緒にいる時間を本当に楽しく過ごすことができると思います。それは年齢、性別だけでなく、国籍や人種に区別なく共通しています。フランスで一人暮らしをしていた頃、僕の楽しみの一つはフランス人RCカー仲間との交流でした。予定のない週末になると、バスと徒歩でリヨン郊外のRCホビーショップのサーキットに通っていたのですが、通い続けるうちに彼らと仲良くなったのです。

Lyon郊外のホビーショップのサーキット
フランス語のできない僕のために、苦手な英語で会話をしてくれるフランス人の友人たち。完全な意思疎通はできませんでしたが、心温まる交流ができたと思います。共通の趣味があれば、言葉が分からなくともちゃんと仲良くなることができる。そんなことを肌で経験することができたのも良い想い出です。


進化しようとする気持ち


多くの人にとって、RCカーは趣味として楽しむものだと思います。もちろん、僕もそうなのですが、F1エンジニアになることを目指していた僕にとっては車両運動力学を勉強する良い教材でもありました。そのことは、以前のブログにも書きました。また、RCカーのようなクルマを使った趣味は、中学や高校で学ぶ物理法則を体感できるので、実践的な教育機会にもなると思います。

そして、RCカーの趣味を通じて改めて気付いたことがあります。それは、コンペティション(競争)を伴う趣味は『進化しようとする気持ち』を培えるということです。
    『もっと速く走らせられるようになりたい!』
    『世界選手権に出場できるような凄いドライバーになりたい!』
    『カッコいいボディをペイントできるようになりたい!』
このような気持ちを多くの人が持ったのではないでしょうか?しかも、誰かに言われたり指示されたワケでもないのに、その気持ちが自分の心から自然と生まれてきたはずです。これこそが、趣味を持つことの真の価値だと僕は考えています。

僕の場合、幼少期はミニ四駆のジャパンカップ、青年期はリッジレーサーで地元高円寺のレコードホルダー、成人期はレーシングカートのレース、全ての趣味においてコンペティションが関わっていました。得られた成果はさておき(汗)、『進化しようとする気持ち』を育むことができたと思います。

僕とF1とRCカーと


それが趣味の世界であったとしても、新しい環境に飛び込み、最初の一歩を踏み出すことはとても勇気のいることです。しかし、趣味の世界ではどんなに大きな失敗をしても取り返しのつかないことはありません。プロとしての成果を求められない分、思い切ったチャレンジができるのも趣味の世界です。

僕はRCカーという趣味の世界を通じて様々なトライ&エラーを繰り返し、エンジニアとしての知見を広げてきました。その知見と『進化しようとする気持ち』はF1エンジニアを目指していた僕にとって、大いに役立ってくれました。だから、声を大にして言わせてください。

『RCカーは時として人生を変える力がある。』

僕の成長を支えてくれたRCカーの世界。その世界で、これからもたくさんの方と出会えることを楽しみにしています!

[おわり]

おまけ情報


F1チームで働いて気付いたのですが、自分の所属グループではRCカーを趣味としていたエンジニアが結構います。今後、RCカー仲間をF1チーム内でも募り、ウラF1グランプリの開催を企てております。