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タイヤと旋回性能を考える
前回のブログではスリップ角の考え方とタイヤ横力の発生メカニズムについて解説しましたが、今回のブログではそのタイヤ横力がミニ四駆の旋回運動にどのような影響を及ぼしているのかを解説します。
ダッシュ3号シューティングスター (引用元:タミヤ公式サイト) |
前後で異なる反作用力
一定速度で旋回走行するミニ四駆には慣性力(見かけ上の力である遠心力)が働いており、その慣性力は反作用力の大きさと等しくなります。ここでは簡単な理解のため、いったんタイヤ横力をゼロと仮定してみましょう。下の図は、このような状況下におけるミニ四駆の力関係を示しています。
慣性力と前後の反作用力の関係 |
- 前後の反作用力の大きさは等しい
- 前後の反作用力のベクトル和の大きさは、慣性力の大きさに等しい
- 慣性力の大きさは、旋回半径と速さによってのみ決まる
タイヤ横力の存在がその対称性を打ち崩してしまうのです。では、ここで改めてタイヤ横力を図に追加してみましょう。
前後で向きの異なるタイヤ横力が加わる |
フロントのタイヤ横力
- フロントローラーをコースの壁へと押し付けるように作用する
- リヤローラーをコースの壁から遠ざけるように作用する
上記のような作用力が慣性力と一緒にコースの壁に作用するため、コースの壁からの反作用力は、フロント側は大きくなり、リヤ側が小さくなってしまうのです。これをミニ四駆における前後反作用力の非対称性と言います。
非対称性が引き起こすデメリット
では、この非対称性がどんなデメリットを引き起こすのでしょうか?ここで改めて、ミニ四駆の旋回を支配する反作用力に着目してみましょう。
反作用力を分力化する |
この節の最初で仮定したように、もし前後の反作用力が等しいのであれば、上述の減速力と加速力は釣り合うために影響はゼロになります。しかし、ミニ四駆に伝わる反作用力は前後では同じではありませんから、その関係は常に『減速力>加速力』となってしまうのです。
ローフリクションタイヤ(引用元:タミヤ公式サイト) |
実証実験による効果の確認
ここまでは図と文章で解説しましたが『どうもピンと来ない…』という方も少なくないかと思います。実際に自分自身で実証実験ができればベストなのですが、なんと!実証実験の動画を公開している人気ミニ四駆YouTuber、【Woowa】しろっこさんの動画を発見しましたので、ここで紹介させて頂きたいと思います。
しろっこさんの動画では、セッティングによる性能の変化代を同一の走行条件で切り出しています。このため、とても信頼性の高い実証実験となっているのが特徴です。ぜひ参考にしてみてください。また、本動画の掲載に当たり、しろっこさんより事前承認を頂いております。本ブログへの掲載をご快諾頂き、本当にありがとうございました。
まとめ
以下、今回のまとめとなります。
- タイヤ横力により前後の反作用力は同じにならない
- フロント側の反作用力はリヤ側より大きくなる
- 前後非対称の反作用力により、ミニ四駆には減速力が働く
- タイヤのグリップ力を減らすとコーナリング速度が向上する
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