2019年4月6日

ミニ四駆の運動と制御-第2章-

[前回のブログ]
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ミニ四駆に作用する力


前回のブログでは旋回運動の成り立ちとタイヤスリップ角について解説しました。今回のブログでは、ミニ四駆にはどのような力が作用しているのか?これを段階的に解説したいと思います。

ダッシュ2号バーニングサン(引用元:タミヤ公式サイト)
乗用車では地球からの重力や空気抵抗力などの外力を受けますが、その旋回運動はタイヤの発生する横力によって成り立っています。しかし、操舵機能を持たないミニ四駆はコースに沿って走行するため、ちょっと特殊なメカニズムで旋回運動をすることになるのですが、その詳細とは…?

作用・反作用の法則と旋回運動


さっそく次の図を見てみましょう。この図はミニ四駆が半径一定のコースを一定速度で旋回走行している様子を表しています。

コースの壁からの反作用力による旋回
この時、ミニ四駆はコースの壁にローラーを押し付け(作用)ながら走行していますが、コースの壁はミニ四駆をコースに留めようとするためミニ四駆を押し返します(反作用)。これがいわゆる中学校の物理で学習する『作用・反作用の法則』です。

ここでしっかり理解しておきたい重要な点は、乗用車ではハンドル操作によって生み出されたタイヤの横力で旋回運動が始まるのに対して、ミニ四駆は『コースの壁から受ける反作用力により旋回運動をする』(図中の青矢印)ということです。

また、コースの壁に沿って走行するミニ四駆の場合、前後のローラーが受ける反作用力は必ずしも同じ大きさにはならず、フロント側の反作用力が大きくなるという特徴があります。その理由は後述することとして、次節では反作用力に続く第二の力に着目してみましょう。


タイヤ横力の発生メカニズム


ミニ四駆のタイヤは旋回運動に対してどのような働きをしているのでしょうか?乗用車とは違うメカニズムで何らかの力を発生していることは容易に想像できますが、本節ではそのメカニズムを繙いていきます。次の図を見てください。

自転中心は公転軌跡の接線方向に速度を持つ
図に示すようにミニ四駆は公転運動をしているので、ミニ四駆の自転中心は公転軌跡の接線方向に速度ベクトルを持ちます。また、4つのタイヤの中心も車体の一部なので、同じ速度ベクトル(注記)を持ちます。しかし、この図のままだとするとスリップ角が発生しないため、タイヤ横力も発生しないことになってしまいます。

(注記)『タイヤ中心の速度ベクトル』とは車輪速(タイヤの回転する速さ)ではなく、タイヤ中心の移動する速さと方向を意味します。

ここで思い出してもらいたいのは『ミニ四駆は公転運動だけでなく、自転運動も行っている』ということです。ミニ四駆の自転中心から離れているタイヤの中心は、自転運動により刻一刻と位置が変わるので、その速度ベクトルも考慮する必要があるのです。ここではフロントタイヤを例にその速度ベクトルについて解説します。

自転によるタイヤの速度成分
図に示すようにタイヤの中心は自転運動による速度ベクトルを持ち、その方向はタイヤの自転軌跡の接線方向となります。さらに左右のタイヤの速度ベクトル前後方向左右方向にそれぞれ分解してみると、注目すべき点が現れてきます。速度ベクトルの横方向成分が左右タイヤ間で同じ向きであるのに対し、前後方向成分は逆向きになるのです。タイヤのスリップ角が左右で異なるのは、この逆方向の前後速度成分に由来しています。

上述したように、各タイヤは公転運動による速度ベクトルと、自転運動による速度ベクトルを持つので、次の図に示すように二つの速度ベクトルを足し合わせてみましょう。

自転と公転の速度ベクトルを合成
これらの速度ベクトルを合成した結果に注目です。外輪側の左タイヤは小さなスリップ角となるのに対して、内輪側の右タイヤは大きなスリップ角となり、同じにはなりません。このことは左右で発生するタイヤ横力が必ずしも同じにはならないことも意味しており、タイヤやローラーのセッティングを考える上で一つのヒントになりそうです。

(注記)上の図では理解しやすくするため、スリップ角を実際より大きく描いています。

それでは、全てのタイヤの速度ベクトルを図にしてみましょう。リヤタイヤは自転中心よりも後方にあるので、横速度成分がフロントタイヤとは逆になることがポイントとなります。

各タイヤに発生する速度ベクトルの様子
本節の一番最初に紹介した図と異なり、タイヤ中心の速度ベクトルの角度が変化したことで、スリップ角が発生していることが分かります。また、前回のブログで解説したように、スリップ角があれば、タイヤの接地点に発生するのがタイヤ横力でした。そこで上の図にタイヤ横力を描き加えてみると下の図のようになります。

スリップ角によりタイヤ横力が発生する
この図における着目ポイントは、前後でスリップ角の変化方向が異なっており、フロントタイヤの横力が車体をコースの壁に押し付ける方向に作用していることです。このため、フロント側のローラーがコースの壁から受ける反作用力はリヤ側に比べて大きくなってしまうのです。このような状況はデメリットとなりそうですが、どのようなデメリットとなるのか…?その詳細については次回以降のブログで解説していきます。

まとめ


以下、今回のまとめとなります。
  • ミニ四駆は反作用力によって旋回運動する
  • 自転と公転の速度ベクトルの合成によりタイヤの速度ベクトルが決まる
  • タイヤスリップ角は自転の影響で内輪側が大きくなる
  • 反作用力はリヤ側よりフロント側が大きい
前回のブログに比べると少し難易度が高かったかも知れませんが、いかがでしたでしょうか?次回はミニ四駆に加わる力がミニ四駆の運動にどのように作用しているのかを解説します。次回のブログ更新もどうぞお楽しみに!

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