技術的特異点(シンギュラリティ)とは?
シンギュラリティ(Singularity)という言葉をご存じだろうか?
この言葉の意味するところは多岐に渡るが、最近では技術的特異点として認識される機会が多いのではないだろうか。つまり『人口知能(Artificial Intelligence)の自己進化により、究極的な能力を発揮し始めるポイント』と言う意味だ。近い将来、多くの仕事がAIに置き換わると言われている。
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つまり、シンギュラリティとは、対象となる系において何らかの特異点が存在すると言って良いだろう。
では、F1においてシンギュラリティとは何を意味するのであろうか?今回のブログでは、将来的にF1に訪れるかも知れないシンギュラリティについて、いくつかの技術的側面から考察してみることとする。
車両運動数値解析におけるシンギュラリティとは?
ご存じの通り、現代のF1ではドライビングシミュレータを使った車両性能開発はもはや必要不可欠と言って良いだろう。残念ながらその開発の舞台裏をこのブログで紹介することはできないが、シミュレーション技術における一般的知識の範囲で解説する。
車両運動シミュレーションでは様々なコンポーネントがモデル化されている。それらはほとんどの場合、様々な非線形特性を持つ。ここではごく簡単な例としてダンパーを紹介する。
ヤマハ パフォーマンスダンパーの内部構造 (引用元:ヤマハ発動機株式会社) |
それだけではない。ダンパーのピストンとシリンダー間に発生する摩擦力は、数値解析において不連続性の原因となる。また、ダンパーは作動時間の経過に伴い熱を発生するため、それもまた減衰力特性を変化させてしまう。
このような非線形特性と依存性は陰解法を用いた車両運動数値解析においてシンギュラリティの原因となり、しばしば演算停止または演算負荷の過度な増加の原因となるのである。もちろん、陽解法であれば短時間で解に辿り着けるが、陰解法に比して解の精度が良くないという課題がある。
空力開発におけるシンギュラリティとは?
2000年代になり圧倒的に飛躍してきた技術がある。それがCFD(数値流体計算力学)である。CFDの基礎方程式として有名なNavie-Stokes方程式が提唱されたのは1845年であり、実のところ、流体の挙動を解き明かす理論は100年以上前に先人たちが到達していたのである。
Navie-Stokes方程式 (引用元:株式会社ソフトウェアクレイドル) |
つまり、計算機が必要不可欠なのであるが、その計算機の登場は1845年から95年後の1940年、Alan Turingによって開発されたbombeまで待たなくてはならなかった。
デジタルコンピュータの元祖Bombe (引用元:Wikipedia) |
なお、ここで言う『Navie-Stokes方程式を解く』とは一般解を求めることではなく、一定の前提条件の下、陰解法で漸近的に数値解析するという意味であることに留意されたい。なお、一般解を導くことができた方はクレイ数学研究所へ報告すると良い。
今後、レーシングカーに求められるシンギュラリティとは?
正直に告白すると、私はこれからF1において起こるであろうシンギュラリティの存在に気付いていた。しかも、それは私が中学3年生だった1992年のことであった。
レーシングカーに限らず、クルマとはタイヤが路面に接地していることが運動の前提条件となる。いや、むしろ基本原理・原則と言って良いだろう。しかし、その原理・原則が根本から覆されてしまったとしたら?
それは正に今回のブログテーマであるシンギュラリティそのものだろう。もしくはラプラスの箱と言っても良い。
今、このブログを読んでいる皆さんに、ここでお願いしたいことがある。28年前に僕が気付いたというシンギュラリティを今から紹介するが、そのことについては秘密にしておいてもらいたいのだ。
この約束を守ってくれる人はこのページをしばらくスクロールして欲しい。あなたはいずれF1の世界に訪れるであろうシンギュラリティの真実を知ることになる。
宙に浮いてもコーナリングフォースを発生する 驚異的なカート |