[重要なお知らせ(Important notification)]
RCバギーでは必須の空力デバイス
これまでのブログでは翼型ウイング、ディフューザについて考察しました。その結果、どちらも有意ある効果を得ることは難しいということが分かりました。それではエアダム型ウイングはどうでしょうか?
![]() |
シューティングプラウドスター (引用元:タミヤ公式サイト) |
エアダム型ウイングの特徴
まずはエアダム型ウイングがどのようにしてダウンフォースを発生するのか?そのメカニズムについて簡単に解説してみたいと思います。翼型ウイングがウイング下面に負圧を発生させることでダウンフォースを得る一方、エアダム型ウイングでは上面に正圧を発生させることでダウンフォースを発生させます。
![]() |
エアダム型ウイングにおける空気流れのイメージ (引用元:Team AZARASHI) |
エアダム型ウイングと揚抗比の関係
一般的な話で言えば、旅客航空機にエアダム型ウイングは採用されていません。なぜなら、得られる浮力(Lift Force)の大きさに対して空気抵抗力(Drug Force)が小さいことが旅客航空機には求められるからです。この浮力と抵抗力のバランスを評価するためのパラメータとして、揚抗比L/D(浮力÷抵抗力)が用いられます。
それでは例によってムーンクラフトの空力エンジニアの神瀬氏に登場してもらい、エアダム型ウイングとその揚抗比についての見解を聞いてみましょう。
神瀬エンジニアの見解
自分
『空力効果を得ることが難しい速度域で走るミニ四駆でも、エアダム型ウイングならそれなりに効果が見込めるのでは?と考えたのだけれども、その点についてはどう考える?』
神瀬エンジニア
『ミニ四駆の速度域での超低レイノルズ数流れにおいては、エアダム型ウイングが一番効果が見込めると思います。ミニ四駆のボディ形状なども考慮すると、この手法が最も手っ取り早いと言えますね。』
自分
『懸念事項は?』
神瀬エンジニア
『空気抵抗が翼型ウイングやディフューザに比べると大きくなることですね。揚抗比としては不利になりそうですが、実は揚抗比に関してちょっと興味深い研究結果があるんですよ。』
アメリカのハーバード大学が開発した小型飛行ロボット (引用元:ハーバード大学公式YouTube) |
自分
『ほう。それは?!』
神瀬エンジニア
『近年、昆虫型マイクロ飛行ロボットの研究開発が盛んなのですが、トンボの羽のような薄板形状ウイングが採用されています。そして、超低レイノルズ数流れにおいては、揚抗比が翼型ウイングよりも良いという結果が得られているそうです。』
自分
『それは興味深い…』
神瀬エンジニア
『はい。エアダム型ウイングの空気抵抗が、翼型ウイングのそれと比べて小さいということはないはずですが、もしかしたら板形状ウイングの一種とも言えるエアダム型ウイングの揚抗比は思うほど悪くないかも知れません。』
エアダム型ウイングのまとめ
エアダム型ウイングについて『有意なレベルのダウンフォースの獲得が見込める』という結論を得ました。また、板形状ウイングは翼型ウイングに対し、超低レイノルズ数流れでの揚抗比において優れるという研究結果があることも分かりました。
さらに第6章~第8章の考察をまとめると『ミニ四駆にはエアダム型ウイングが最適』だと言えると思いますが、それではミニ四駆でそれをどう実現するのか?次回のブログではその実践例を紹介します。
次回更新もどうぞお楽しみに!
[つづく]