2018年2月4日

クルマのバネ上共振周波数とは?①

[重要なお知らせ(Important notification)]

バネ上共振周波数f[Hz]を自動車工学的に解説すると『質量Mとバネ定数Kの比およびモーション比αで計算され、車両バネ上挙動を支配する設計パラメータ』です。単位はヘルツ[Hz]で、1秒間あたりの振動数を意味しています。

(デルフト工科大学DUT15:著者撮影)
数式はいたって簡単。高校物理で習う数式にモーション比αが加わっており、バネ定数Kに乗じられています。


ここで、各テクニカルタームをまとめておきましょう。

車両バネ上質量(Vehicle Sprung Mass)

車両からサスペンションとタイヤを取り除いた部分、つまり車体部分のことを車両バネ上といい、その質量を車両バネ上質量と言います。この記事では [kg]と表すこととします。

バネ定数(Spring Stiffness)

バネのたわみやすさを表す数値で、例えばバネを1cm縮めるのに必要な力が10Nであった場合、バネ定数はSI単位系で1000[N/m]となります。この数値が大きくなれば固くなることを意味します。この記事では [N/m]と表すこととします。上の写真では青いコイル状の部品がバネです。

モーション比(Motion Ratio)

通常、車両の車体部分が直接バネを介してタイヤと接続されていることはなく、サスペンションを経由して車体は支えられています。このため、タイヤの上下移動量とバネの変形量は1:1とはなりません。この記事ではモーション比 α =[バネ変形量] / [上下移動量]とします。

(京都大学2014年車両のフロントサスペンション機構:著者撮影)




設計パラメータとしてのバネ上共振周波数とは?



上記三つの数値はクルマの設計が変われば当然変わりますが、例えば車両重量が昨年に比べて重くなっているにも関わらずバネ定数とモーション比が同じままであれば、バネ上の挙動は変わってしまいます。


ここで、下の画像のような1自由度のバネ上モデルを想定してみましょう。右端の四角が車体を表しており、左右方向にのみ移動可能だとします。車体に一定の力を加えた場合の左右移動量を、異なる設計パラメータで計算した結果が下のグラフになります。

1自由度バネ上モデル




バネ上質量変位の時間変化

上のグラフからも分かるように、設計変更前の車両と同じバネ上挙動を実現するには、同じバネ上共振周波数となるように設計しなくてはなりません。学生フォーミュラのデザイン審査提出資料の一つにスペックシートがありますが、そこにこれら数値の記載欄があるのは、学生がサスペンションを企図して設計していることを確認するためです。

なお、モーション比を設計変更する場合はダンパー減衰力も変更する必要があり、最終的にはバネ上質量、バネ定数、モーション比、ダンパー減衰力をトータルで設計することになります。



まとめ


バネ上共振周波数はサスペンションを設計する上で最も重要な設計パラメータであるいえます。学生フォーミュラでサスペンション設計を担当している学生は、このこと念頭におきつつ設計取り組むようにすることをお勧めします。

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