2018年2月5日

空力の鬼才エイドリアン・ニューウェイとは②

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僕の考えるニューウェイ氏の存在


前回のブログで触れたダレンの驚きの言葉を紹介する前に、自動車開発における空力開発の一般的な流れを解説します。その上で、ニューウェイ氏がどのような立ち位置にいると考えられるのか?僕の個人的な見解を紹介します。

空力開発の一例(引用元:F1公式サイト)
僕の立場上、F1での開発の最前線で起きていることは書けませんが、今回のブログで自動車の開発プロセスの"難しさ"を知ってもらえれば幸いです。

空力コンセプトと開発手法


モノづくりは必ずコンセプトを定義することから始まります。これはF1でも例外ではなく、空力部門のトップが統括リーダーとなって実現したい空力コンセプトを決めていきます。この時、リーダーの脳内には車両全体の空気流れのイメージが存在しているはずです。

統括リーダーの定めたコンセプトに従い、空力部門のエンジニアたちはフロントウィングからリヤウィング、ノーズ下からデュフューザーまで様々なストリームラインを想定して形状を決めていきます。形状の決定プロセスとしては、CFD解析で最適形状の候補を洗い出し、風洞でベスト形状を選定するという手法が一般的です。

(引用元:TOTALSIM社HP)
車両を取り巻く流れは、車両前方から後方へと進むにつれて流れが複雑化するため、CFDで車両全体を取り巻く流れを精度よく再現することはとても難しくなります。そこで、車両を大まかにフロントエンド、ミドル、リヤエンドに分けて開発します。

このような分業によるメリットは、個々の空力パーツの目標性能を精度よく達成できることですが、一方でデメリットもあります。それが空力性能の全体最適化です。この全体最適化こそが空力開発の統括リーダーとして最大の責務であり、最も難しい課題なのです。


局所最適化から全体最適化へ


近年のCFD技術は目覚ましい進化を遂げています。限定された空間エリアの形状(例:サイドポンツーンの一部)であれば、自動で最適形状を導き出すことも可能になりました。つまり、局所最適化に関して言えば、以前よりも効率的に開発が進められるようになったということです。

一方、全体最適化となると全く別の技術課題であり、その難易度は局所最適化の課題と比較して格段に高くなります。例えば、フロントウィング、リヤウィング、デュフューザーを単体でベストな形状を割り出し、マシンに織り込むとします。

(引用元:https://www.f1technical.net/)
果たしてそのマシンはベストな空力性能となるでしょうか?答えはもちろん"NO"です。そもそも車両を取り巻く空気流れはフロントからリヤまで連続的な流れであり、局所最適解の集合が必ずしもベストになるとは限りません。

ニューウェイ氏が長きに渡って担ってきたのは、この全体最適化課題であり、この技術領域で驚異的な能力を発揮してきたようです。では、彼の能力がどう驚異的だったのか?次回のブログでは、ダレンの言葉を交えながら、ニューウェイ氏の能力の凄さについて、僕なりの見解をより具体的に紹介していきます。

[つづきはコチラ]

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