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F1ドライバーのレース活動の原点とは?
その答えはもちろんレーシングカートですね。今となってはレーシングカートでの実績なくしてF1ドライバーにはなれないと言ってもいいでしょう。2017年F1チャンピオンのルイス・ハミルトンも、かつてはカート界で目覚ましい活躍をしており、茂木で開催された2000年CIK‐FIAワールドカップでの優勝を覚えている方もたくさんいると思います。
(引用元:http://birelart.com/) |
そこで今回のテーマではレーシングカートの特異性にフォーカスしていきます。さらに第二回目以降ではレーシングカートのハンドリング性能とセッティングの関連性について紹介します。現役カートドライバーの方は知っておくとドライビングに幅が生まれる…かも?知れません。
すべてはリヤから始まるカートの特殊性
意外かも知れませんがカートの特殊性はリヤのアクスル機構から始まります。そして、その特殊性の根源は下の写真中の矢印に示す部分…そう、リヤシャフトです。
(かつて所有していたTONY KART RACER EV) |
2017年の全日本学生フォーミュラ大会では芝浦工業大学チームがリヤのドライブトレインにリジッドアクスル機構を採用したマシンを投入し、総合2位を獲得しました。デファレンシャルの省略による軽量化と、コーナー脱出時のトラクション改善を狙ったと考えられます。
(引用元:芝浦工業大学Formula Racing公式Twitter) |
リジッドアクスル機構、レーシングカートを始めとした小型レーシングカーに限って言えばアリな機構なのかもしれませんね。
リジッドアクスル機構とハンドリング性能の関係
ハンドリング性能はフロントタイヤとステアリング機構で決まる…と考えると思います。もちろんその通りなのですが、それだけでは理解としては不十分で、リヤの機構もまたハンドリング性能に大きな影響を与えているのです。リヤがリジッドアクスル機構の場合、ハンドリング性能には悪影響を与えることで知られています。
上の図はドライバーがステアリングを切り始めた直後のリヤタイヤ外輪と内輪の軌跡の違いを示しています。右端の点は車両の瞬間旋回中心です。厳密な意味ではちょっと実際と違う点がありますが、ここでは容易な理解のために簡易的に示しています。
この図における赤矢印と青矢印は明らかに長さが違います。つまり、外側タイヤは長い距離を、内側タイヤは短い距離を走ることを意味します。しかし、リジッドアクスル機構は左右のタイヤがシャフトで直結されているので、どちらか一方がもう一方に合わせて動かざるを得ません。
リジッドアクスル機構の車両が低速旋回する場合、外輪側は青矢印の長い軌跡をトレースできないため、路面に対してマイナスの速度を持つことになります。その結果、上図に示すように外輪タイヤには後ろ向きの力、つまり減速力が発生してしまいます。また、この減速力は車両重心周りにおいて、旋回方向と逆方向のモーメントにもなるため、アンダーステアの原因にもなってしまうのです。
これがリジッドアクスル機構を搭載するクルマのタイトコーナーブレーキ現象とアンダーステア傾向の正体です。このような課題を解決するために、デファレンシャルと呼ばれる機構が使われることが一般的ですが、その進化型として三菱自動車が開発したAYC(Active Yaw Control)システムが有名です。
特殊性はリヤからフロントへと波及する
リヤにリジッドアクスル機構が採用されているレーシングカートは一般的なフォーミュラカーと比べるとちょっと特殊なハンドリング性能にならざるを得ません。さらに日本国内のカートコースはタイトコーナーが多いのでレーシングカートには不向きと思われます。
しかし、走っているレーシングカートを見ていると、わりと流れるようにコーナーを駆け抜けているように見えますよね?リジッドアクスル機構なのに不思議ではありませんか?
(かつて所有していた愛車のBirel。個人的にはTONYよりBirel!) |
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